国内

2025.09.15 11:30

近畿大学の産学連携が面白い。学生企画の商品はなぜウケるのか

さまざまな企業の商品開発に学生たちと取り組む産学連携。近畿大学を訪れた筆者が感じたそのメリットとは。マクアケ創業者による好評連載第56回。


先日、はじめて近畿大学を訪問する機会があった。近畿大学といえば、卒業式に著名人を招いたゲストスピーチを行うことで有名だ。過去には、元サッカー日本代表の本田圭佑氏やLDH代表のHIRO氏、作詞家の秋元康氏などを招き話題となった。もちろん、この大学の特色はそれだけではない。実は私が思っていた以上に「産学連携」という切り口でユニークな取り組みを数多く行っていることをキャンパス訪問で知ることとなった。

近畿大学の産学連携といえば水産養殖の研究、特に完全養殖に成功した「近大マグロ」が広く知られているが、水産業に限らずさまざまな業界との産学連携を積極的に推進しており、その裾野は広い。例えば、菓子メーカーのUHA味覚糖とは2017年から新図書館「ACADEMIC THEATER」内に共同の「KISS LABO」を設置し、学生と社員が一緒に新商品の企画開発を行っている。ここから生まれたユニークな菓子(近大マグロをモチーフにしたグミや、6キャンパスの名産を詰め合わせたアソートキャンディなど)は、学内先行販売を経て一般発売に至った例もある。ドラッグストア大手のマツモトキヨシとは包括連携協定を結び、キャンパス内に「マツモトキヨシACT」を開設。学生と社員が自由にアイデアを出し合って新たなPB商品の共同開発を進め、実学教育の場としている。さらにサカイ引越センターは文芸学部芸術学科と連携し、学生がデザインしたラッピングトラックが全国を走り始めている。

地元企業との共創も活発だ。大阪府八尾市の老舗ゴムメーカー錦城護謨とは、指にはめて使うシリコン製メイク用パフ「ゆびパフ」を学生と共同開発。環境に優しいこの製品は新しいモノやサービスを応援購入できるECサイト「Makuake」で販売され、見事に目標金額を達成している。また同じく八尾市で100年続く木村石鹸とは、アクセサリー専用クリーナー「acid.」を共同企画。学生目線を商品開発に取り入れた日用品として商品化されている。

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文=中山亮太郎 イラストレーション=岡村亮太

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