双方にとって大きなメリットが生まれる
これらのプロジェクトで特筆すべきは、あえて社会人経験のない学生が企画段階から深く関与している点だ。学生たちは企業と共に市場調査からコンセプト立案、試作品検証PR動画制作に至るまで携わり、自分たちのアイデアがかたちになっていく過程を体験する。自分たちが考案した商品が店頭に並ぶ様子を目にすれば、その達成感は大きな自信につながるだろう。こうした実学の機会は将来のキャリア形成にも貴重な経験だ。一方、企業にとっても学生世代の斬新な発想やリアルな声を取り込める絶好の機会である。若者ならではの着眼点が新商品開発のヒントとなり、共同プロジェクトを通じて自社を知ってもらうことにより、将来の人材採用にもつながっている。もちろん、大学自体の魅力の向上にも貢献している。今の時代、学生のときに実践的な経験をいかに積むことができたかが重要だと企業も学生も気づいている。将来を見据えて自分らしい経験をどう積んできたかが重要なアジェンダなのである。
今後、多くの企業が自社のコアコンピタンスに経営資源を集中していくなかで、異業種のパートナーと手を組む共創によってイノベーションを起こす重要性はますます高まっていく。その際、大学や学生と組んで新しいビジネスの種を見いだす可能性も大いにある。近畿大学が取り組む学生巻き込み型の産学連携は、その好例のひとつだ。研究技術軸での産学連携は待ったなしで強化するべきだが、それ以外の分野でも産学連携がもたらすメリットは大きい。それは企業・大学・学生の三方に利益を生み出し、その輪はこれからさらに広がっていくだろう。
なかやま・りょうたろう◎マクアケ代表取締役社長。サイバーエージェントを経て2013年にマクアケを創業し、アタラシイものや体験の応援購入サービス「Makuake」をリリース。19年12月東証マザーズに上場した。


