再注目のフジでは何が起きた?
今年の株主総会で最も注目された株主提案である、フジ・メディア・ホールディングスに対するダルトンによる12人の取締役選任議案は全員否決された。約9%を保有して筆頭株主になっていた野村絢氏も、6月24日付の日経電子版のインタビューで、清水賢治社長の手腕を評価する発言を行うなど、旧経営陣の一掃を含む経営改革がダルトン以外の株主の賛同増加につながったようだ。
同インタビューでは、再編を期待している業種として、地銀、工作機械、物流、不動産に関心があり、パルプやセメントのような素材関連も魅力的だと述べた。父の村上世彰氏は2024年11月の講演で電鉄と自動車部品業界の再編を目指していると述べたが、絢氏と世彰氏が再編のターゲットとする業界は異なり、時間とともに変化した印象だ。
旧村上ファンド系はこれまで建設業界の業界再編に寄与してきた。大量に株式を集めた西松建設は伊藤忠商事の持分法適用会社となり、大豊建設は麻生(非上場だが、麻生太郎自民党最高顧問の関係会社)の子会社となり、三井住友建設はインフロニア・ホールディングスに買収される見通しである。建設業界は低PBR、政策保有株式が多い、業界再編が遅れているなどの理由から、アクティビストの投資対象になりやすい。
一方、地銀の再編に貢献しているのは、エンゲージメント・ファンド、ありあけキャピタルである。同ファンドは千葉興業銀行の株式を20%超買い集めた後、千葉銀行に売却した。その売却資金で、滋賀銀行に投資したとみられ、京都フィナンシャルグループとの統合狙いではとの見方が出た。物流業界では、ファラロン・キャピタル・マネジメントがニッコンホールディングスの保有比率を20%近くまで高め、3Dインベストメント・パートナーズが三井倉庫ホールディングスを7%超保有した。物流業界では人手不足などから業界再編の期待が出ていた。
菊地正俊◎1986年東京大学農学部を卒業後、大和証券入社。91年米国コーネル大学MBA取得。大和総研を経て2000年にメリルリンチ日本証券。12年みずほ証券入社。『アクティビストが日本株市場を大きく動かす』(日本実業出版社)など著書多数。


