モビリティ

2025.09.10 10:00

米高級EV「ルーシッド」、欧州市場強化とロボタクシーで減速懸念に対抗

Lucid Gravity(C)Lucid

Lucid Gravity(C)Lucid

米高級EV(電気自動車)メーカー、ルーシッド・モーターズが正念場を迎えている。米政府の約110万円相当のEV購入税額控除は9月末に終了する見通しで、主力市場への逆風は避けられない。生産遅れと巨額赤字にも直面しており、販売戦略の抜本的な見直しを迫られている。同社は新型SUVの欧州展開やウーバーとの提携などで打開を図っている。

約110万円の税額控除が終了へ――ルーシッドは影響の緩和策を講じる

米国の高級電気自動車(EV)メーカーのルーシッド・モーターズは、欧州で新型SUV「グラビティ」の発売準備を進めている。同社の暫定CEOのマーク・ウィンターホフは、母国で差し迫る別の期限に備え、その影響に対処する戦略を説明した。

その期限とは、米国の適格EV購入者向けの7500ドル(約110万円。1ドル=147円換算)の税額控除制度が9月30日に終了することだ。

「確実に影響が出ると見込んでいるが、すでに緩和策を講じ始めている」とウィンターホフは9月5日のオンライン記者会見で語った。この会見は、9日からドイツ・ミュンヘンで開かれる「IAAモビリティ2025」(ドイツ国際モーターショー)に先立ち行われた。

市場は駆け込み需要で販売増、補助金終了後の減速には悲観的な見方

米国のEV販売台数は税額控除終了を前にした需要増で大きく伸び、7月は13万台を超えた。前年同月比19.7%増、前月比26.4%増と報告されている。コックス・オートモーティブの報告書「2025年7月EV市場モニター」に記載された。中古EVの需要も急増し、7月の販売台数は前年同月比40%増の3万6670台だった。

しかし、税額控除が消滅すれば売上が減速する可能性は高く、販売店の間にはすでに悲観的な見方が広がっている。コックスのチーフエコノミストのジョナサン・スモークは「減速の見通しは驚くことではない。ディーラーも補助金の終了を見越しており、第4四半期には売上の減少を予測している」と指摘した。

好調なSUVグラビティ、旺盛な需要が生産能力を上回りドリーム・エディションは完売

ルーシッドの裕福な顧客層にとって、7500ドル(約110万円)の補助金の消滅は、必ずしも購入を急ぐ理由にはならない。しかし、グラビティの販売は好調で、同社は年末まで「急勾配の増産体制」を続けるとウィンターホフは説明した。

「グラビティへの需要は非常に強く、現在の生産能力を上回っている」とウィンターホフは説明し、最上位モデルの「ドリーム・エディション」がすでに完売したと明かした。彼はまた、グラビティが年内のルーシッドの販売を牽引し、セダンの「エア」を上回ると見込んでおり、ルーシッドが四半期ベースで再び過去最高を更新する見通しだと語った。

次ページ > 生産見通しは引き下げ、第2四半期の純損失は1260億円に拡大

翻訳=上田裕資

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事