トランプの貿易交渉はどうなるのか
ベッセント財務長官は最高裁への声明で、関税を違法とする判決が下れば政権の貿易交渉が脅かされる可能性があると警告した。ホワイトハウスは他国との交渉で関税を脅しの手段に使い、米国に有利な条件を引き出そうとしてきたからだ。ベッセントは、すでに連邦巡回区控訴裁判所の判断が「進行中の交渉に悪影響を及ぼしている」と主張し、各国首脳が「大統領の関税権限を疑問視し、交渉から撤退したり延期したり、交渉戦略を変更したりしている」と述べた。
トランプ政権はまた、不利な判決がトランプのロシア・ウクライナ戦争終結への取り組みを「危うくする」可能性も示唆している。これはトランプがモスクワとの取引を続ける国々に対して制裁として関税を課してきたためである。
しかし、元通商代表部の法務顧問でもあるチルドレスは、交渉は政権が予測するほど深刻ではないと指摘した。彼は、他の法的権限を活用することで依然として同等の圧力を維持できるだろうと述べた。
これまでの背景
トランプは4月2日に、ほぼすべての国に包括的な関税を課すと発表し、長年の公約を果たした。経済学者が消費者価格の上昇や経済への悪影響を懸念していたにもかかわらずである。それ以来、関税を巡る訴訟が展開されてきた。
中小企業の経営者や民主党を支持する州は、トランプにはIEEPAに基づいてこれほど広範な関税を課す権限はないと主張して提訴した。連邦裁判所はこれまでにその主張を支持しており、国際貿易裁判所は5月に関税を違法と判断し、他の裁判でもトランプがIEEPAの下で関税を課すことはできないと判断した。ただし、控訴審が進む間は関税は有効とされ続けてきた。先週、トランプは最高裁に迅速な審理を求める形で訴訟を提起し、連邦巡回区控訴裁判所が関税を違法と判断した後、最高裁に判断を仰いでいる。


