企業はどうやって払い戻しを受けられるのか
法律専門家らはフォーブスに対し、最終的にリベレーション・デー関税が違憲と判断されれば、それを支払った企業には返金を受ける権利があると述べた。「もし関税が違憲または違法と判断されれば、政府には徴収する権利がなかったのだから返金しなければならない」と、トンプソン・コバーン法律事務所のロバート・シャピロは語った。
ただし、その返金手続きの仕組みは現時点では予測困難だとし、ホーランド&ナイトの弁護士パトリック・チルドレスも複数のシナリオがあり得ると述べた。例えば、政府が輸入業者に自主的に返金する、あるいは企業が申請して返金を受けるプロセスを設けるなどが考えられる。
チルドレスはまた、トランプ政権が返金に抵抗し、関税を巡って直接訴訟を起こした企業だけが対象だと主張する可能性も指摘した。しかし政府当局者は、少なくとも一部の返金は避けられないと認めている。ベッセント財務長官は、7日に出演したニュース番組『Meet the Press』の中で、「関税の半分ほどは返金しなければならないだろう。それは財務省にとって深刻な問題だ」と述べた。
消費者への影響
トランプの関税が違法と判断されれば、企業は価格上昇分を消費者に転嫁する必要がなくなり、米国民は関税が存続する場合に比べて出費を抑えられるだろう。
タックス・ファウンデーションの分析によれば、リベレーション・デー関税により世帯の支出が2025年に1304ドル(約19万2400円)、2026年に1588ドル(約23万4200円)増えるとしている。しかし関税が無効化されれば、それは2025年に292ドル(約4万3100円)、2026年に387ドル(約5万7100円)にまで減少するという。
また、消費者も企業が関税を理由に値上げしたことを根拠に訴訟を起こし、返金を求める可能性がある。シャピロは「企業が関税を理由に価格を上げたという発表は、顧客が追加コストの一部を取り戻すための正当な主張になるだろう」と述べた。ただし、これも実際にどう事が運ぶかは依然として不透明である。
トランプはそれでも関税を課せるのか?
可能だが、現在のように広範な関税を課すことはできない。IEEPAの下での包括的な関税賦課は法的に疑問視されているが、他の複数の連邦法は大統領に対し、より明確な関税権限を与えている。ただしそれらはリベレーション・デー関税のような規模には及ばず、発動期間や税率に制限がある。例えば1962年に制定された通商拡大法第232条は、大統領が特定産業や製品に関税を課すことを認めており、トランプは同法を根拠にすでに鉄鋼や自動車に対し関税を課している。しかし、それを実施する前に政府による調査が必要である。
また、1974年通商法第122条は国際収支問題を抱える国に対して即時に関税を課すことを認めているが、税率は最大15%、期間は150日までに制限される。また同第301条は、不公正な貿易慣行を行った国に対して関税を課すことを認めており、トランプは第1期政権でこれを中国に適用したが、こちらに関しても政府による調査を前提としている。


