暗号資産

2025.09.09 09:30

FRBの独立性懸念で揺らぐドル 強まる金騰勢、ビットコインも新たな「安全資産」狙う

Shutterstock.com

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代表的な暗号資産(仮想通貨)であるビットコインの価格は今年急騰し、8月には1BTC(ビットコインの単位)12万4000ドルを超えた。米連邦準備制度理事会(FRB)をめぐる危機が広がり、それが意外な展開(編集注:ここでは主に米当局が経済統計をブロックチェーン上に直接配信し始めたことを指す)を見せていることも背景のひとつとなっている。

足元のビットコイン価格は1年前のおよそ2倍に高騰していて、一部では84兆ドル(約1京2400兆円)規模の衝撃(編集注:2045年までに米国のベビーブーム世代からより若い世代へ84兆ドルの資産が移転されると見込まれ、一部がビットコインへの投資に振り向けられるとみられている)が迫っているとの予測も出ている。仮想通貨市場全体の時価総額を4兆ドル(約590兆円)あまり膨らませた最近の相場上昇に乗り遅れまいと、世界のセレブリティーらも相次いで仮想通貨の購入に走っている。

最新の仮想通貨版ゴールドラッシュで新たな「ロックフェラー」や「ロスチャイルド」が生まれるかもしれないとも言われるなか、米ゴールドマン・サックスは、米ドルの基軸通貨としての地位は金(ゴールド)によって侵食されかねないと警鐘を鳴らしている。同時に、ビットコインも安全資産の王座の地位をうかがっている。

ブルームバーグ通信によると、ゴールドマン・サックスのアナリスト、サマンサ・ダートらのチームは「FRBの独立性が損なわれるシナリオでは、インフレ率の上昇、株価と長期国債価格の下落、ドルの基軸通貨としての地位低下につながる可能性が高い」と顧客向けメモに記している。「対照的に、金は制度への信頼に依存しない価値保存手段だ」とも言及している。

ドナルド・トランプ米大統領は今年、FRBに対する「口撃」を激化させ、ジェローム・パウエル議長を繰り返しやり玉に挙げている。一方、経済学者らは、迫り来るドル危機の可能性について警告している。

トランプはパウエルを解任すると脅してきたほか、現在はリサ・クック理事の排除を試みており、FRBがホワイトハウスから独立性を保てるのかどうか懸念が広がっている。

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翻訳・編集=江戸伸禎

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