ゴールドマンの見通しによれば、FRBに対するトランプの攻撃で世界の投資家が米国の国債や株式、ドルへの信頼を失えば、金価格は1トロイオンスおよそ5000ドルまで急騰する可能性がある。巨額の米国債市場から金市場へのわずかな資金シフトだけで、大幅な価格上昇を引き起こすのに十分だという。
「金は引き続き、コモディティー(商品)分野で当社が最も高い確信度でロング(買い)を推奨する品目だ。(中略)わたしたちの試算では、米国債市場の民間保有分の1%が金に流入すれば、ほかの条件がすべて同じと仮定した場合、金価格は(1トロイオンス)5000ドル近くまで上昇する」(同メモ)
金価格は今年上昇を続けており、1年前には1トロイオンス約2500ドルだったのが9月8日現在3600ドルをつけ、時価総額は24兆ドル(約3500兆円)に膨らんでいる。これと並行して「デジタルゴールド」とも呼ばれるビットコインも急騰していて、過去最高値を更新している。
スイスの仮想通貨ETF(上場投資信託)会社21シェアーズのリサーチストラテジスト、マット・メナは、米国の最新の雇用統計が予想を下回ったことを受けたコメントで、ビットコインは「金と株式の交差点に位置し、流動性がリスク資産に向かうときに成長する新たな価値保存手段だ」と述べている。この統計は、FRBが9月、トランプの求めてきた利下げに踏み切るのをさらに後押しする内容だった。
「利回りの低下にともない、7兆2000億ドル(約1060兆円)規模のマネー・マーケット・ファンドが動き出しそうだ。そうしたなかでビットコインは、デジタルゴールドとしての安全性と、リスクオン資産としての非対称な上昇余地という、究極のハイブリッドな特性を提供する。加えて、季節性も追い風になるだろう。ビットコインは歴史的に第4四半期(10〜12月)に年間で最も好調になる傾向にあり、10月に下落したのは過去にわずか2回しかない。流動性が戻れば、年末にかけて買い圧力が一段と高まるのではないか」(メナ)
仮想通貨情報サイトのコインデスクが行ったビットコインと金のテクニカル分析によると、ビットコイン価格は「第4四半期末から来年初めにかけてブレイクアウト(一定のレンジや抵抗線・支持線を突き抜けること)する可能性がある」という。


