ヘルスケア

2025.09.09 14:00

陽気な音楽に乗り物酔い治す効果、シューベルトには血圧下げる効能? 最新研究

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「モーツァルト効果」という言葉は、モーツァルトの音楽を聴かせると子どもが賢くなる、といった主張によく使われる。この概念に触発されて、赤ちゃんの知能向上をうたうCDコレクションさえ発売された。しかし、その根拠とされた研究はたった1件しかなく、研究対象は数十人の大学生だった(つまり子どもではない)。

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さらにこの研究でわかったのは、特定の種類のタスクにおいてモーツァルトを聴いた時に学生のパフォーマンスが向上したということであり、総合的な知能の向上を示すものではない。しかも、研究における選択肢は「モーツァルトを聴く」「リラックス方法の説明を聴く」「何も聴かない」の3つしかなかった。モーツァルトがベートーヴェンやビヨンセより優れていたわけではなく、単に研究に使われた音楽がモーツァルトだけだったのだ。

今回の心血管系の研究結果においても、シューベルトやリスト、バウアーの演奏に何らかの特別な要素があって、この特定のピアノ曲の音源が血圧の低下に最も貢献したとは考えにくい。たまたま研究対象曲の1つに選ばれていたにすぎない。

この種の研究で、音楽をジャンルや種類で分類するのにも、いささか限界がある。たとえば乗り物酔いの研究で研究者が「楽しい音楽」として採用した楽曲を、聴き手が同じように楽しいと感じるとは限らないからだ。

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この点は、音楽鑑賞がもたらす興味深い効能に関するあらゆる研究について読むたびに、思い出す必要がある。研究において使用される音楽はほとんどの場合、研究者が選んだものであり、その選択によって研究結果は制限を受けている。よほど多くの楽曲を研究サンプルとしない限り、個々のアーティストの音楽様式や作風について一般化するのは非常に難しい。

とはいえ、特定の音楽の効果について結論を出すのが難しい一方で、これらの新しい研究結果はいずれも、音楽を聴くことが体にとても幅広い影響を与える可能性があることを示している。この事実は、人間の体が非常に複雑にできていて、臓器が完全に独立した存在ではないことを改めて思い出させてくれる。

forbes.com原文

翻訳・編集=荻原藤緒

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