音楽に不可能はない、のだろうか?
音楽が人の気分を左右し、記憶を刺激することは、すでにさまざまな形で立証されている。そしてこのほど、音楽が私たちの生理的機能にも影響することを示す新たな研究結果が2つ発表された。
9月3日付で査読付きオープンアクセス科学誌Frontiers in Human Neuroscienceに掲載された研究論文では、適切な種類の音楽を聴けば、乗り物酔いから早く回復できることが示された。また、先月29日~今月1日に開催された欧州心臓病学会(ESC)の年次総会では、音楽が血圧に影響を与えることがわかったとする報告があった。
もっとも、どの楽曲を聴けばこれらの効果が期待できるのかまで断定するのは、少し行き過ぎかもしれない。
音楽は乗り物酔いからの回復を助ける
乗り物酔いになる人は全人口の約3分の1に上るといわれる。車や船のほか、どんな乗り物でも急制動や急カーブなどで予期せぬ揺れに見舞われると酔いやすい。運転者・操縦者よりも同乗者のほうがひどい症状に見舞われがちだが、運転支援技術の発達に伴い、ドライバーが車酔いになるケースも増えている。
酔ってしまった場合、乗り物を降りた後も体調の回復に時間がかかることがある。特定の方法で神経系を刺激すれば回復を早められる可能性が明らかになっており、今回、中国の研究チームは音楽を通じてその効果を得られるかを調べた。
乗り物酔いの状態を再現するため、ドライビングシミュレーターで曲がりくねったルートを設定し、乗り物酔いの経験のある人に運転してもらう実験を実施。参加者を大きく3つに分け、気分が悪くなったところで運転を中止するグループ、吐き気を催しても設定したコースを完走したのち自然な回復を待つグループ、完走後に60秒間音楽を聴きながら回復を待つグループで結果を比較した。
実験は参加者全員が脳波を計測する電極付きキャップを装着して行い、本人の自覚症状だけに頼ることなく、脳波のパターンから乗り物酔いの状態を直に観察できた。



