閉じる

PICK UP

世界38カ国、800万人が愛読する経済誌の日本版

東京大学エッジキャピタル・パートナーの黒川尚徳氏(左)と
マイクロ波科学代表取締役社長CEOの吉野巌氏(右)。


化学産業革命を狙う“モノづくりベンチャー”

吉野巌が創業したマイクロ波化学は、大阪大学発ベンチャー企業。
同社は2014年4月、電子レンジなどに使われる電磁波「マイクロ波」を使用した世界初の化学品量産工場を稼働させ、同6月には太陽化学と共同出資会社の設立を合意、同10月には化学世界大手の独BASFと共同開発を発表、今年6月には昭和電工と電子材料の量産を開始するなど、いま、注目のモノづくり系化学ベンチャー企業だ。

東京大学エッジキャピタル(UTEC)の黒川尚徳パートナーは11年1月のシリーズA以降、計3度、投資を行っている。

黒川:きっかけは、09年に吉野さんと共同創業者の大阪大学大学院工学科の塚原保徳・特任准教授のお二人がした発表を聞いて“ピン”ときたことです。
 
僕自身、大阪大学大学院博士課程で比較的似た分野の研究をし、塚原さんとは同じ学会に所属。学生時代からマイクロ波をうまく事業化できれば産業構造が変わるのではという思いがあり、お二人の話を聞いて「もうここまでスケールアップできているのか」と驚きました。

「世界に化学産業革命を起こす」というスケールの大きいビジョンに挑戦できるだけの技術がここにある―とコンタクトしたのがはじまりです。

吉野:07年の設立時はマンションの一室からスタート。モノづくりベンチャーはもともと資金が集まりにくいのに加えて、翌年にはリーマン・ショックが起き、本当に「あかんな」と。

黒川さんとお会いしたときは、メーカーとの連携を考えていました。しかし、リスクをとり自分たちでスケールアップをしていこうと方針を変え、11年に出資を受け、神戸に実証プラントを立ち上げました。

黒川:モノづくり系ベンチャーは、最初の技術実証やプロダクト実証フェーズに壁がある。だから、技術の可能性、事業性、市場性を示すには、VCの資金を活用して一気に乗り越えたほうがいいと常々思っています。

幸い、吉野さん、塚原さんの技術は、従来の化学プラントと比べ大きさは5分の1、消費エネルギーも3分の1でできるため、最初の資金が限られていても、壁を越えられると思ったんです。

吉野:黒川さんとの関係で印象深いのは、フルスピードで会社を成長させたいと、大阪市内に化学品量産工場を立ち上げようとした12年。資金調達がうまくいかず、資金ショート寸前になった時のことです。

その際、つなぎ投資をし、一緒にリスクをとってくれた。私は、仕事の最終局面では個人がリスクをとらないと前に進めないと思っています。そのリスクを黒川さんはとってくれました。

黒川:吉野社長の起業家として優れている点は、「世界に化学産業革命を起こす」というビジョンの大きさと、それに対して愚直にやり続けている点です。

大風呂敷は誰でも広げられる。けれども、着実に実証を経て事業化し、世界最大手化学メーカー・BASFに技術を認められ協業することを実現させた。“総合格闘技”とも言われるモノづくりベンチャーの中で、その実行力は、本当にすごいと思います。

吉野:これから半年で、海外進出、海外提携をはじめ、階段を1段ではなく、3段あがるつもりでやっています。僕ら会社のミッションは、2つ。1つは、マイクロ波を産業化することで、これは成し遂げなければいけません。もう1つは、モノづくりベンチャー企業の成功事例を“トライ・アンド・エラー”しながらつくっていくということです。
 
どちらも黒川さんとお互いに共有できるミッションであり、是が非でも実現させたいと思っています。

山本智之 = 構成 平岩 享 = 写真

記事が気に入ったら
いいね!しよう

LIKE @Forbesjapan

Forbesjapanを
フォローしよう

FOLLOW @Forbesjapan

あなたにおすすめ

合わせて読みたい