ナイキはZ世代に対して、スポーツについてまったく新しい問いを投げかけた。
つい最近、ナイキは新しいスローガン「Why Do It?」を発表した。これは有名な「Just Do It」を置き換えるものではなく、補足するものだという。そして、このナイキの新スローガンに対する反応はすでにSNSやYouTubeに現れ始めている。
評論家たちの意見では、この新スローガンは、あらゆることに対して疑問を持つ傾向のある若い世代を対象にしているという。彼らの目からすると、偉大なことを成し遂げようと努力する「try-hards(必死な人たち)」は、ただ注目を浴びたいだけの人たちだ。陸上競技やラクロスの大会に向けて練習する姿を大げさに見せれば、彼らは「cringe(イタい)」と言われる。
興味深いのは、この問いにどう答えるかによって、自分の動機や目標が大きく表れる点だ。つまりこれはブランディングの極意ともいえる。「それをやる」のは自分のためか、それとも他人のためか? 誰かに注目してほしいのか? ただ何かを学びスポーツで上達するための努力なのか? それとも、もっと深い、邪(よこしま)な目的があるのか?
私はこの新スローガンを気に入っている。なぜなら、それが常識に挑戦しているからだ。「Just Do It」というスローガンは、いまや周辺に溶け込み、私たちの多くは気にも留めなくなっている。しかし「Why Do It?」という問いは、自分ならどう答えるかを考えさせる。答えを出さざるを得なくなるか、少なくとも問いを吟味することになる。
新スローガンで次世代に訴える
特にZ世代はすべてを問い直す傾向がある。彼らは本物であることを求め、信頼を重視する。アーンスト・アンド・ヤングの調査によると、Z世代の回答者の92%が「本物であることは他の特性よりも重要だ」と答えている。
また、若い世代は不安を抱えているとも言われるが、それは正しい。彼らは、常に手にスマートフォンを持って「いつもオン」の状態であることが求められる。メッセージへ即座に返信しなければ、それは弱さの表れだと見なされ、あるいは、少なくとも無視したと見なされる。SNSの投稿を無視してしまえば、仲間から孤立することにつながってしまう。
だからこそ、ナイキの新スローガンが宣言ではなく問いかけになっていることは驚きではない。このスローガンは、なんらかの形で参加を促す試みだ。問いを投げかけることで、ナイキは協働を促している。
最近のリブランディングの試みはあまりうまくいっていないものもある。レストランチェーンのCracker Barrelでは大幅なロゴ変更が顧客に受け入れられず、最終的に撤回して元のロゴに戻った。一方、Pizza Hutは最近のロゴ変更でより大きな成功を収めた。



