シルバーはゴールドに連動する。そして、投資家の中には、貴金属競争における速い馬としてシルバーを捉える人もいる。だが、私の見方は異なる。ゴールドとシルバーは長い間、民間の資産だった。しかし、いまやゴールドは政府の資産である一方、シルバーは依然として民間の資産のままである。ゴールドは政府の買いによって動かされ、シルバーは遅れを取ってきた。しかし今、民間の資金がシルバーへと流れ込み、走り出そうとしている。
過去10年間において、シルバーに対するゴールドのアウトパフォームはそれほど顕著ではなかった。特に、2020年頃にシルバーが再評価されたことで、その差が縮小したことがあった。
そして、シルバーはいま、それと同じような期間に入っている可能性が高い。
ここで強調しておきたい。私は貴金属に大きく投資しているが、いわゆる貴金属信奉者ではない。ただ単に、現在のトレンドに投資しているだけである。私にとっての重要なトレンドは、今まさに行われている恐ろしい軍事的威嚇である。ゴールドは戦争に備えるための資産であり、他の貴金属もそれに従う。
昨日、トランプ米大統領はこう投稿した。
「米国に対して共謀するあなたへ、ウラジーミル・プーチンと金正恩に、どうぞよろしくお伝えください…」
これは貴金属にとって最大級の買いシグナルといえる。そして、もう一度注意深くこの内容を観察してみると、これが思ったよりも悪い内容であることがわかる。
トランプの「よろしく」を彼らに伝えるのは誰なのか? そして、「あなた」とは誰なのか? それは習近平なのか?
世界大戦の太鼓の音が鳴り響く中で、各国政府はゴールドを蓄えなければならない。それは実質的にゴールドの価値上昇を意味する。そして、シルバーもそれに続くだろう。
では、どこまで上がるのか? 私の見立てでは、ゴールドの次の目標は4000ドルから5000ドルであり、それはシルバーでいえば50ドルから60ドルの水準に相当する。そして、私自身まだ消化しきれていない厄介な事実がある。しかし心配はいらない、それは強気材料である。
ゴールドはおおよそ3200トン、シルバーは2万5000トンが採掘されている。これらの数字は概算だが、およそ8対1だ。わかりやすくするために、古代ローマ帝国のネロ皇帝がハープを弾いていた頃のように10対1としよう。そうすると、ゴールドとシルバーの価格の比率と生産比率が驚くほどかけ離れていることがわかる。そう、これが需要と供給の不思議である。しかし、もし民間の資金が政府に倣って貴金属に流れ込むのであれば、その民間の資金はシルバーに向かうだろう。最終的には、民間の資金こそが眠れる巨人なのだ。
中国とロシアが米国に対して陰謀を企てていると米国自身が主張するような世界では、ゴールドとシルバーに資金が流れ込む。そして、その中でも足が速いのは、シルバーという馬なのである。
シルバーは1オンスあたり100ドルの価格をつけるだろうか? 国際情勢の緊張が緩和されることがなければ、シルバーはそこに向かうだろう。



