好奇心がAI導入のミッシングリンクである理由
筆者は、企業の担当者と話すとき、「好奇心のカルチャー」を受容した他社の例を話すようにしている。ウォークミーが企業として、協働、誠実性、成果と並んで、好奇心に価値を置いていると知って、私は嬉しく思った。
企業が明確に好奇心に価値を置くとは、すなわちその企業のリーダーが、社員に好奇心旺盛であることを期待し、そのような社員を高く評価すると宣言することを意味する。
ほとんどの社員は、AIについて知見を深めることを望んでおり、AIスキルを高めることが成功の鍵だと考えている。その障壁となっているのは企業文化だ。社員は、学習に関する許可を得られる必要があり、また学習を支援してくれるリーダーを必要としている。
AI導入をスムーズに進めるために、企業は好奇心を尊重し、育むべきだ。好奇心のカルチャーをもつ企業は、離職率が低く、エンゲージメントが高く、イノベーションが活発であるために、年間数百万ドルを節約できることが研究から示唆されている。にもかかわらず、好奇心を定量的に評価している企業はほとんどない。
バーンスタインによれば、ほとんどの企業リーダーがエンゲージメントや昇進率に注目している一方で、こうした成果を好奇心と直接的に関連づけている企業はわずかだ。ここに見落とされた可能性が眠っている。
AI導入を成功に導くには
AI導入の失敗に関して、AIそのものに非があると責めるのは簡単だ。しかし実際には、企業がAI導入に失敗するのは、人間側の要因を見落としているせいだ。
研修機会の職位格差、不安、隠蔽体質は、いずれも文化的問題だ。リーダーがとるべき対策は、好奇心を評価制度に組み込み、リソースを配分し、恐れずに試行錯誤できる空間を創出することだ。
AIが成果をもたらすのは、社員が前向きに学習できる時だけだ。好奇心を奨励するリーダーは、AI導入の試みを改善できるはずだ。だが、人間側の要因を無視していれば、そうした試みは空回りを続けるだろう。


