モビリティ

2025.09.09 11:00

ウェイモのロボタクシー事業に「148兆円」のビジネスチャンスか、爆発的成長への期待高まる

サンフランシスコの市街地を走行するWaymoのロボタクシー(Photo by Smith Collection/Gado/Getty Images)

サンフランシスコの市街地を走行するWaymoのロボタクシー(Photo by Smith Collection/Gado/Getty Images)

2015年夏、自動車業界のベテラン経営幹部のジョン・クラフチックが、グーグルの自動運転車プロジェクトをアルファベット傘下の新たな事業部門にするために招聘されたとき、共同創業者のセルゲイ・ブリンとラリー・ペイジは彼に野心的な目標を託した。

「彼らは私に、偉大な会社をつくり、それをグーグルよりも大きくしてほしいと言ったんだ」と、後にこのプロジェクトを引き継ぎ、2021年までウェイモのCEOを務めたクラフチックはフォーブスに語った。

当時、このアイデアは荒唐無稽なものだった。なぜなら、果たして自動運転技術が現実世界で安全に運用できるのか、さらには大規模に展開できるのかが不透明だったからだ。しかし、それから10年が経ち、状況は変わった。ウェイモのロボタクシーは現在、運行中の5都市で毎週約30万件の有料乗車を提供中で、その収益は週あたり少なくとも600万ドル(約8億8500万円)に上る。

この数字は、車両の増加とサービスの拡大によって、数年後には飛躍的に伸びる見通しで、今後の展開先にはマイアミやニューヨーク、ワシントンD.C.、ボストン、ナッシュビルに加え、初の海外市場になる可能性がある東京など、15以上の都市が含まれている。ウェイモは8月29日のブログの投稿で、可能な限り迅速に規模を拡大する計画を強調していたが、その翌週に同社は、デンバーとシアトルでの試験運行を開始したと発表した。

「私たちは新たな段階に進み、商業的な拡大を加速させている」とウェイモは述べた。「もしあなたの街で私たちの車を見かけたら、それは将来あなたにサービスを提供できるよう懸命に取り組んでいるからだ」

今こそ「アクセルを踏み込むべき時」という声も

ビリオネアのテック投資家ビノッド・コースラは、16年にわたる開発を経たウェイモについて「今こそアクセルを全開にすべき時だ」と語る。

「ウェイモは世界で数兆ドル規模の市場に立っており、私が知る限り同じレベルに迫る競合は存在しない」とコースラはフォーブスに語った。「数兆ドル規模ということは、グーグルの広告事業をはるかに上回る市場だと言っていい。しかも彼らは競合との差を広げられる立場にある。もし私なら、データセンターに匹敵する規模の年間数百億ドルを投じて拡大し、一気にシェアを握りに行くだろう」

ウェイモの自動運転車プログラムは転換点を迎えている。ロボタクシー分野では、現時点で同社の有力な米国内の競合は存在しない。ただし、ラスベガスでのサービス開始を控えるアマゾン傘下のZooxは、この状況を変えることを望んでいる。また、グローバルで見れば、唯一の競合になり得るのが中国のバイドゥだ。

次ページ > 1台ごとの収益は、多くの人が驚く規模に

翻訳=上田裕資

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事