経済

2025.09.13 11:15

日本人の幸福度なぜ低いのか、世代間ギャップの真実

Getty Images

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日本を含むアジア6カ国の人々を対象に行った調査では、日本人はキャリアアップや人生を豊かにするための努力を放棄してしまったように見える。不景気のなかで生まれ育った人たちには夢も希望もないのだろうか。

タイ王国を拠点にリサーチ・インサイト事業などを行うクロス・マーケティンググループは、日本、インドネシア、タイ、ベトナム、フィリピン、インドに住む20〜69歳の有職者200人(男性100人、女性100人)を対象に消費実態と生活意識に関する調査を行った。それによると、「経済的に豊かになれるようキャリアアップしたい」、「人生を豊かにするためにつねにチャレンジ精神をもって行動している」などの生活意識に関する質問で、5段階で最上位の「そう思う」と答えた人(トップボックス)の割合を見ると、日本人が極端に少ないことがわかる。

「将来のキャリアアップに向けて自己研鑽している」、「将来のために今はお金を使うよりも貯蓄を増やしたい」、「一人で過ごすよりも家族や友だちと一緒にワイワイ過ごすほうが好き」などの項目でも日本人の割合は桁違いに低い。

社会や景気に関する質問でも、「現在、景気がよいと感じる」、「少々高くても環境に配慮した製品を選びたい」、「一人でいるよりも結婚して子どもをもつ人生のほうが幸せだと思う」、「家族や友人が困っていたら、できる限り手を差し伸べたいと思う」、「10年後の自分の生活は今よりよくなっている」という5つの質問に対する日本人のトップボックスの割合は、ほかの5カ国と比較すると悲しいほどに少ない。

景気が悪いのは事実だが、環境、結婚、人助けを考える余裕もなく、10年後にも期待が持てないでいる日本人。この調査が生活実態のほんの一面を捉えたものに過ぎないにせよ、不景気が常態化した社会の行き着く果てを見ているようだ。病は気からと言うが、不景気という病に対して日本人は完全に「気」をなくしてしまったかに見える。気力でどうにかなるなら簡単だが、希望もやる気も失ってしまえば動くものも動かない。せめて上向きの気持ちだけでも持ち続けたい。

消費行動などを含むより詳しいレポートはこちらからダウンロードできる。

プレスリリース

文 = 金井哲夫

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