SEC監督縮小やトランプ氏利益相反など、5つの重大な欠陥を民主党スタッフが指摘
上院銀行委員会のウォーレン議員の下で活動する民主党スタッフは、RFIA草案には「5つの重大な欠陥」があると批判している。1つ目はSEC(証券取引委員会)の監督権限を大幅に縮小し、企業が暗号資産トークンを補助資産として自己認定し、証券法の規制を免れることを可能にしている点。2つ目は退職金や銀行システムを暗号資産による変動にさらし、金融危機を招く恐れがある点。3つ目は違法金融、マネーロンダリング、テロ資金調達といった問題への対応を義務づけず、調査研究にとどめている点。
4つ目は大統領の利益相反を防ぐ仕組みがない点だ。ここでは、トランプがミームコイン取引で6億2000万ドル(約911億円)を得たとされる疑惑が例示された。5つ目には、監督権限を人員不足のCFTC(商品先物取引委員会)に移すことが、開示や詐欺防止の規定を弱体化させ、投資家を危険にさらすと指摘されている。
一方、下院ではノンカストディ型の開発者を保護し、利用者のセルフカストディ権を明確に保障する内容を含むCLARITY法案が超党派からの強い支持を得て可決された。下院の金融サービス委員会のヒル委員長は数日前、この長らく待たれていた法案が「今後の数週間以内に」成立する可能性があると述べていた。
そして注目すべきは、この法案に業界側から2つの要望が盛り込まれた点だ。その2つとは、トム・エマー下院院内幹事(共和党、ミネソタ州)が提出した「ブロックチェーン規制確実性法(BRCA)」と、ウォーレン・デービッドソン下院議員(共和党、オハイオ州)が提出した「Keep Your Coins法」だ。ブロックチェーン業界は6月の共同書簡で、BRCAをCLARITY法に含めるよう求めており、その際にCoin Centerも署名し、DEF、Solana Policy Institute、The Digital Chamber、Blockchain Association、Crypto Council for Innovation、Bitcoin Policy Instituteも名を連ねていた。
先日のDEFが主導した連合の書簡では、CLARITY法案にBRCAとKeep Your Coins法が盛り込まれたことへの感謝が示され、『これらの法案は仲介型金融と分散型ネットワークの違いを認識し、セルフカストディの権利やピア・ツー・ピア取引の自由といった重要な米国の価値を守るものであり、いずれも米国をブロックチェーン革新の拠点にする上で不可欠だ』と強調された。ただし業界側は、さらなる重要な明確化を求めるとともに、50州ごとに異なる規制のパッチワークを避けるため、連邦レベルでの保護を求める姿勢も示している。
DEFはCLARITY法案の可決を非常に前向きに評価し、『下院での可決は米国のデジタル資産法にとって大きな前進だ。我々は、ノンカストディ型のピア・ツー・ピアソフトウェア開発者が金融機関と誤解されないよう保護するBRCAの採用、さらに中央集権型と分散型システム・技術を区別した法案の内容を歓迎する』と表明した。ただし、同団体は改善の必要性にも言及し、上院でさらなる修正を働きかける意向を明確に示した。
暗号資産市場を巡る攻防、2025年の焦点は法案の行方
そんな中、RFIA法案に暗号資産業界の要望とウォーレン議員の強硬な反対の双方が反映されるかどうかに、大きな関心が向けられている。暗号資産業界は、昨年の大統領選と議会選挙に数百万ドル(数十億円)を投じ、今年も積極的なロビー活動でGENIUS法の成立を勝ち取るなど、今や議会で無視できない影響力を持つ勢力へと成長した。ここで問われるのは、トランプ政権2期目の初年度における立法の勢いが終盤に差し掛かるなかで、スコット議員が市場構造法案をいかに頓挫させずに舵取りできるかだ。


