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2025.09.08 10:00

アップルiPhone 17は「AIとスマホのあり方」を決める試金石

アップルのティム・クックCEO(Photo by Justin Sullivan/Getty Images)

iPhone 17 Proのデータを安全に保つ

アップルにはユーザープライバシーを重視するという長年の方針があり、それがAndroidのモバイルAIにおける優れた能力を再現することを困難にしている。Apple Intelligenceには根本的なトレードオフが存在する。可能な限り多くのデータをiPhone内に保持することで、クラウドベースのAIが利用できるような強力な処理能力や膨大なデータセットは利用できず、ローカルで達成できることの範囲が制限される。競合他社は、より多くのAI処理をサーバーサイドに任せることができ、それによって正確性、速度、能力を向上させている。

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アップルも、「Private Cloud Compute(PCC、プライベート・クラウド・コンピュート)」システムを用いて、クラウドベースのサーバーでAI処理を行っている。これにより、AIリクエストを匿名でクラウドに送信できる。その際、ステートレス処理(処理後にサーバーからデータを削除)、データ最小化(文脈に応じた必要最低限のデータのみをクラウドに送信)、検証可能なプライバシーといった、いくつかの保護措置が講じられている。

しかしPCCは、Androidエコシステムが利用する完全なクラウドベースのシステムと比較して限界がある。プライバシーを重視して設計されているため、高度で持続的なパーソナライゼーションを提供できず、また、ユーザーのニーズに即応するためにクラウド上でユーザーデータを継続的に分析することもできない。

すべての処理はiPhoneの内部で行われなければならない。そして、どんなに楽観的に見積もっても、iPhone 17 Proおよび17 Pro Maxを駆動するであろう次期A19 Proチップでは、サーバーパワーにはかなわない。

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iPhone 17 Proが直面する課題

ユーザーデータを安全に保つというアップルの哲学は、グーグルやAndroidと同じ土俵で競争することをほぼ不可能にしている。このやり方は機能しない。過去2年間がそれを物語っている。

ここが、来年にかけてのアップルの主要な課題である。iPhone 17、iPhone 17 Air、iPhone 17 Pro、iPhone 17 Pro Maxの発売は、ティム・クックCEOと彼のチームがスマートフォンのAIをめぐる議論に大きな影響を与えられる、現実的かつ最後の機会となる。人工知能とは、実は「パーソナルインテリジェンス」、つまり利用者個人に属するものなのだという考えを浸透させる必要がある。それは、クラウドと共有されず、消費者のデータがその場で利用されることもなく、大規模なAIのトレーニングに使われることもない、という考えである。

ティム・クックCEOは、これからの議論の流れを、アップルが有利な領域、すなわちオンデバイス処理、制御されたクラウドアクセス、プライバシーをクラウドに晒すのではなく個人情報を優先、といった方向へ変える必要がある。

その議論の流れを変えることができれば、AIの進むべき道を変えることができる。iPhone 17 Proとそのシリーズ機は、アップルにとってそれを成し遂げる最後の機会になるかもしれない。

forbes.com 原文

翻訳=酒匂寛

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