欧州

2025.09.07 13:00

身近な玩具が兵器に変貌──『Call of Duty』新作の世界より怖い、現代の戦場ロボット

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この変化を痛ましいほど明確に示したのが、2009年に打ち切りになった米陸軍の「ランド・ウォーリアー」システムだった。この戦術コンピューターでは、兵士が移動中に音声やテキスト、データで自分の位置を確認したり、通信を行ったりできた。これは言い換えれば、一般の人々が自分のスマートフォンでやっているようなことだ。違いは、この携帯機器は重量が3.5kg超あり、価格はおよそ5万ドル(現在の為替レートで約740万円)もした点だ。米陸軍はスマートフォンが普及し始めるとすぐ、「ネット・ウォーリアー」と呼ばれる、耐久性を高めたAndroidスマートフォンに基づくシステムに移行した。

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民生品由来のロボット戦力

ロシアによる全面侵攻が始まると、ウクライナは手元にある低コスト技術を急いで活用し始めた。軍は「空の目」を切実に必要としていて、ドローン愛好家にも協力が呼びかけられた。これは、ハリウッドの映画の題材になってもおかしくないエピソードをひとつ生んでいる。当時15歳の少年アンドリー・ポクラサが、ロシア軍の前進に立ち向かう唯一のドローン操縦士になったのだ。父親とともにアンドリーはドローンを飛ばし、ロシア軍の戦車や装甲兵員輸送車の縦隊を見つけた。そのおかげで、ウクライナ軍の砲兵は車列に砲撃を加え、その前進を阻むことができた。

ほどなくして、ウクライナのレース用ドローン愛好家たちは高速FPV(一人称視点)ドローンを“ミニ誘導ミサイル”に改造した。この低コスト誘導弾は現在、ウクライナで百万機単位で製造されており、ウクライナ軍の最も効果的な兵器になっている。いまやロシア軍の人的損害の大半をもたらしているのが小型ドローンだ。小型ドローンを「おもちゃ」と軽んじる人もいるが、そう呼ぶのならこれは「破壊力や殺傷性のあるおもちゃ」なのだ。

ウクライナは地上用の無人機も、北大西洋条約機構(NATO)軍が百万ドル単位の高価な装軌式ロボットを採用しているのと対照的に、あり合わせのもので開発してきた。たとえば、金属製フレームにホバーボード2台と制御装置を取り付けて、物資運搬用の低コスト無人車両をつくっている(編集注:ホバーボードを転用した同様のロボットはロシア側も開発して運用している)。ウクライナはさらに、ロケットランチャーを搭載した数百ドル程度の攻撃型地上ロボットも開発している。

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ロボット犬もすでに導入されている。ロボット犬は米軍も2000年代初頭から試験してきたが、軍用品は相変わらず高価で、米空軍基地を巡回している四足歩行ロボットは1台あたり15万ドル(約2200万円)もする。ウクライナ軍の部隊は中国のUnitree Robotics(ユニツリー・ロボティクス、宇樹科技)社がホビー市場向けに販売している5000ドル(約74万円)ほどのロボット犬を購入し、建物内部の探査など危険な任務に投入している。武装したタイプはまだ確認されていないものの、米国のメーカーは狙撃銃を装備したロボット犬を展示したことがあり、中国軍も演習で使用している様子を収めた映像を公開している。

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翻訳・編集=江戸伸禎

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