力強い需要と供給の混乱がウランへの投資家の関心を回復させている。ウランは過去1カ月、他のほとんどの商品を上回る価格上昇を見せており、今後も上昇を続ける可能性がある。
クリーンエネルギー源としての原子力への関心の再燃が需要を後押しする一方、世界最大級のウラン鉱山2カ所での操業問題が供給を圧迫している。
カナダのCameco(カメコ)は、同社のMcArthur River(マッカーサー・リバー)鉱山で生産不足が見込まれると発表した。一方、カザフスタンの国営ウラン会社Kazatomprom(カザトムプロム)は来年の生産予測を下方修正した。
この結果、ウラン市場は当初の供給予測を2000万ポンド(約9071トン)下回る可能性がある。
予想以上に逼迫した核燃料市場の状況を裏付けているのが、商品投資ファンドによる活発な投機的取引と、長期供給契約を結んだものの、その履行のために短期のスポット市場での購入を余儀なくされる可能性のある小規模鉱山会社への圧力である。
3月に1ポンド(約450グラム)あたり64ドル(約9432円)まで下落した後、ウランのスポット価格は76.65ドル(約1万1297円)まで回復しており、投資銀行Morgan Stanley(モルガン・スタンレー)のアナリストはクリスマス前に87ドル(約1万2822円)に達すると予測している。
最高値は1ポンド(約450グラム)125ドル(約1万8423円)の可能性も
別の投資銀行Citi(シティ)は、今後3カ月で価格が80ドル(約1万1790円)、来年には100ドル(約1万4738円)に上昇し、強気相場が展開されれば、2007年の好況期以来の水準となる125ドル(約1万8423円)の最高値に達する可能性もあると予測している。
西側諸国最大のウラン生産者であるカメコは、過去12カ月間で商品セクターのトップパフォーマーの1つとなり、株価は104%上昇して直近の取引価格は77.39ドル(約1万1406円)となった。
環境保護論者からの不評という逆風が和らいだ過去5年間で、カメコの株価は600%という驚異的な上昇を遂げた。
シティは先週後半の調査レポートで、2026年の価格予測を1ポンド(約450グラム)あたり100ドル(約1万4738円)としたのは、上昇基調の回復に基づくと指摘した。その要因には、中国の原子力発電拡大計画による需要、小型モジュール炉(SMR)の進展、そしてウラン濃縮企業による「オーバーフィーディング」(原料の過剰投入)が含まれる。
「確固たる強気の材料が出されたため、ウラン価格は今後2~3年間、高値圏で推移すると予想する」とシティは述べる。
「ウランの潜在的な供給不足と、原子力発電能力の増強を促すエネルギー需要の増加が重なると、ウラン価格の上振れリスク(強気バイアス)は著しく高まる」。
シティの基本シナリオ(ベースケース)は、来年末までにウラン価格が1ポンド(約450グラム)あたり100ドル(約1万4738円)に達するというものだ。弱気シナリオでは80ドル(約1万1790円)、強気シナリオでは来年の第1四半期に125ドル(約1万8423円)に達し、その水準で推移すると見ている。
スプロットの積極的な買い付け
モルガン・スタンレーによると、来年のカメコとカザトムプロムによる供給削減は、すでに逼迫している市場に追い打ちをかけるものとなる。市場逼迫の一因には、Sprott Physical Uranium Trust(スプロット・フィジカル・ウラン・トラスト)のようなファンドによる買い付けがある。同トラストは6月に2億ドル(約294億8000万円)の新規資金を調達して即座に230万ポンド(約1043トン)のウランを取得し、さらに追加購入できる手元資金も残している。
ウラン市場のもう1つの変動要因となり得るのは、当初の生産予測を達成できていないプロジェクトからの燃料供給について、楽観的な長期契約を結んでしまった小規模鉱山会社である。
シティは、これらの中小生産者が生産計画を大幅に下回り、契約上の供給義務を果たせなくなる可能性が高いと指摘した。
「そのようなシナリオでは、彼らはスポット市場へ積極的に参入せざるを得なくなるだろう」とシティは述べている。



