本稿は「トラストバンク地域創生ラボ」より、再編集しての転載である。
旅行で欠かせないのがほっとひと息つける場所。観光や食べ歩きも楽しいが、ゆっくりする時間も必要なはず。郡上市八幡町のカフェ「supple coffee roasters(サプルコーヒーロースターズ)」もそんな空間だ。店主の岩田桂太さんが焙煎するスペシャルティコーヒーは、豆の選定やプロセスにもこだわった逸品。この一杯を求めて郡上へやってくる人もいるのだとか。郡上市生まれの岩田さんが、故郷でお店を出すようになった理由や街の魅力についてお話を伺った。

絶景を目の前に味わうスペシャルティコーヒー
郡上市八幡町の清流・吉田川。透き通った水の流れは、見ているだけで心が癒される。吉田川の絶景を堪能できる穴場のひとつが、supple coffee roastersのカウンター席だ。岩田さんがこの場所に店を構えたのも、窓からの絶景に一目惚れしたから。
「八幡町は吉田川がメインの街です。川の流れを見ながらコーヒーを飲む。もう一枚絵で語れますよね」

開放的な窓から楽しむことができるのは、川の流れだけではない。カウンターに置かれた双眼鏡を使ってバードウォッチングもできる。
「発端は地元のお客さんの提案なんです。登山する方で『この辺りにもカワセミとかの野鳥がよくおるよ。双眼鏡を置いたら面白いんじゃない?』と言ってくださったんです。それから僕らも意識して窓の外を見るようになって、いろいろな鳥がいることがわかりました」
双眼鏡の評判は上々。野鳥だけでなく川を泳ぐ魚も発見できる。夏は日本固有種のアユも見られるという。

さらにインスタで注目を集めつつあるのが、隠し撮り風ショットだ。カウンター席に座るお客さんの自然体を、岩田さんが後ろから撮影。恋人や家族、友人と過ごすひとときを、ちょっと特別なワンショットにしてくれる。
「(隠し撮り風写真は)お客さんにもちゃんと伝えて撮影しています。評判は良く、インスタを見てから来店する人も多いです。『インスタみたいな感じで撮ってほしい』と言われることもあって、効果は大きいのかなと思います」
カウンター席でゆったり過ごすお客さんのほか、テイクアウトしたコーヒーを片手に川辺を散策するお客さんも多い。
「コーヒーのメニューは、エチオピアのイルガチェフェを必ず出しています。あとは2、3種類位を定期的に入れ替えています。イルガチェフェのフレーバーは香りが甘くてチョコレートみたいです。ですが飲むと、少しイチゴのようなフルーティーさを感じたり。僕はエチオピアのコーヒーが持つ雰囲気がすごく好きなんです」
岩田さんにとって、イルガチェフェとの出会いは人生を変えるものだったそう。




