繰り返しになるが、先に言及したアジア諸国に限れば、イスラエル製ドローンとトルコ製ドローンが交戦国同士で互いに使用される戦争は起こっていない。しかし、インドとパキスタンに関してはそうではない。
2025年5月初め、両国の間で繰り広げられた短期間ながら激しい4日間の戦争では、ロシア・ウクライナ戦争のケースと少し似て、それぞれイスラエル製とトルコ製のドローンを配備している重武装のインド軍とパキスタン軍が交戦した。
イスラエルは長年、インドと軍事面で協力しており、ドローンも多数供給している。前述のヘロンやヘルメス、同じくIAIの偵察ドローンである「サーチャー」を相当な数納入しているほか、IAIの自爆ドローン「ハロップ」も供与している。インド軍は今回、ハロップをパキスタンのレーダー施設攻撃に対する攻撃に投入した。
トルコはパキスタンにTB2とアクンジュを供給している。ちなみに、トルコはTB2をバングラデシュにも売却していて、バングラデシュはそれをインドとの国境の監視に使用していると伝えられる。
5月のインド・パキスタン戦争は「核武装した隣国同士による世界初のドローン戦争」とも評されており、そこで使われたドローンのいくつかはイスラエルとトルコから供与されたものだった。
したがって、アジアでのドローンの拡散にトルコとイスラエルが引き続き重要な役割を果たすとしても、誰も驚かないだろう。


