経済・社会

2025.09.06 10:00

トルコとイスラエル、日本はどちらから無人機を調達するか アジア市場で中東2国が競合

マルタ空軍のイスラエル製ドローン(無人機)「ヘロン」。2023年2月、マルタ南東部ルア(InsectWorld / Shutterstock.com)

マルタ空軍のイスラエル製ドローン(無人機)「ヘロン」。2023年2月、マルタ南東部ルア(InsectWorld / Shutterstock.com)

日本は現在、軍用ドローン(無人機)をトルコまたはイスラエルから調達するかどうか検討している。日本政府が米国や欧州でなく、これら中東の2国から選ぶことにしたのは別に不思議ではない。トルコ製とイスラエル製のドローンは近年、アジアでほかにもいくつかの国が取得したり、取得に関心を示したりしてきたからだ。

日本は、イスラエル・エアロスペース・インダストリーズ(IAI)製ドローン「ヘロンMK II」の試験をすでに終え、続いて、トルコが広く輸出しているバイカル製ドローン「バイラクタルTB2」の試験を行っている。防衛省の報道官が8月21日、国際軍事情報サイトのジェーンズに認めた。

イスラエル紙エルサレム・ポストは、日本政府によるヘロンMK IIの評価について「記録にある限り、イスラエルの兵器システムが日本で試験された最初の事例」だと伝え、「日本はこれまでイスラエル製装備の購入を控えてきた」と解説している。

TB2は主に、空対地弾薬を搭載した攻撃用無人機として、ヘロンは主に監視・偵察用無人機として使われる。エルサレム・ポストは、日本が試験したヘロンは電子戦用の構成だったとも報じている。

ヘロンは2010年代に韓国に3機が売却されている。ただ、これらはすべて別々の事故で失われており、直近では2025年3月17日、MK IIの前モデル「ヘロンI」が着陸時に駐機中のヘリコプターと衝突し、両機とも全損になった。幸い、死傷者は出なかった。

日本がトルコのTB2の評価を行っているのは注目に値する動きかもしれない。というのも、バイカルのハルク・バイラクタル最高経営責任者(CEO)が2022年3月、TB2の艦載型で主翼を折りたためる「TB3」について、「日本のいずも型(護衛)艦に非常に適している」と述べていた経緯があるからだ。

トルコは強襲揚陸艦「アナドル」で運用するためにTB3を開発した。陸地での運用向けで、より普及しているTB2が日本で試験されるなか、TB3はちょうどこの9月、同艦での運用が始まる予定となっている。

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翻訳・編集=江戸伸禎

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