AIメンタル不調は実在する
一部の評論家は、AIメンタル不調は実在する現象ではないと主張している。それは作り話だというのだ。彼らは、メディアが必要もないのに藪をつついて蛇を出していると非難している。
筆者はその主張に断固として反対する。
AIメンタル不調は実在する。とはいえ、この現象を「AIメンタル不調」と呼ぶのは少し大げさかもしれないという点にはやや同意する。このキャッチフレーズには、どこか突飛な響きがあるので、問題となりうるだろう。
だが、裏を返せば、もしこの問題にインパクトのある名前が付けられなければ、見過ごされてしまうかもしれないということだ。生成AIの週間アクティブユーザーは10億人以上とされ、そのうち7億人がChatGPTを利用していることを念頭に置くべきだ。私たちが大規模な壮大な実験の真っ只中にいることは、紛れもない事実である。
一般大衆は、生成AIへの容易なアクセスによってどのような影響を受けるのだろうか?
ある一定の割合の人々は、社会的に望ましい方向ではない形でAIの影響を受けるだろう。たとえわずかな割合であっても、それは精神的な困難を経験したり、さらに精神的な不調に陥ったりする人が数百万人に上る可能性を意味する。
尊敬される「ヒポクラテスの誓い」の現代版が私たちに告げるように、「予防は治療に勝るゆえ、私は可能な限り病気を防ぐ。私は、心身ともに健康な人々、そして病める人々、すべての同胞に対して特別な義務を負う社会の一員であり続けることを忘れない」。AIは社会の人間の一員ではないが、それでも私たちの社会の一員のようなものであり、私たちは、AIが人類を蝕むのではなく、大衆を助けるように考案されることを期待する権利がある。
おそらくそれは、すべてのAI開発者にとっての厳粛な誓いとなるべきだろう。


