海外

2025.09.08 13:00

博士や弁護士でAI訓練を支援、専門人材サービスの新興メルコアが急成長

MercorのCEOのブレンダン・フーディ(Photo by Lester Cohen/Getty Images for Breakthrough Prize)

創業者フーディの哲学

メンローパークで育ったフーディは、まさにシリコンバレーの血を引いている。母親はメタの不動産チームに勤務し、父親は1990年代にグラフィックインターフェースの会社を創業した後、スタートアップのアドバイザーへと転じた。フーディが16歳の高校生のときに始めた最初の事業の1つは、友人たちのアマゾンのAWS上でのプロモーションを請け負う会社で、1人あたり500ドル(約7万3500円)を請求していたという。

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フーディは、両親の起業家としての知恵を、食卓での会話から学んだという。父親のアドバイスは、「友人に商品を売り込むのではなく、事業を立ち上げて雇用を創出し、裕福な人たちに売り込め」というものだった。「冗談めかして言うが、Mercorはまさにその両方を体現している。私たちは雇用を生み出し、最も裕福な顧客たちにサービスを提供している」とフーディは語った。

3人が当初立ち上げた事業は、インドのエンジニアと、フリーランスのプログラマーを必要とする米国企業を結びつけるものだった。やがて投資家たちは彼らに目をつけ、食事に誘うようになった。ベンチマークのフェントンは、「彼らは単なる神童ではない。カテゴライズ不可能な存在だ」と語った。

創業者たちの心をつかむため、フェントンは彼らをサンフランシスコのヘリコプターツアーに連れ出したという。別の投資家のフェリシス・ベンチャーズは、創業者たちをプライベートジェットでラスベガスに招き、F1サーキットでフェラーリを運転させた。そのレースで最初にゴールインしたのはフーディだったと、フェリシスのパートナーであるスンディープ・ピーチューは振り返る。「彼はカーブを攻めていた」とピーチューは語り、「会社で適切にリスクを取る役割を担うのはCEOであるべきだ」と語った。

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シリーズAでMercorに出資したティールは、自らのネットワークも開放した。フーディが振り返るのは、ティールが主催した政治をテーマにしたクリスマスパーティーでの出来事だ。そこでゲストは、赤い薬か青い薬かを選ぶことができたというが、これは、今では左右の政治的対立を象徴するメタファーとなっている映画『マトリックス』の有名な場面をもじったものだ(フーディはどちらの薬も取らなかったと語った)。

長期目標は適職マッチング、当面はAI訓練収益で拡大

Mercorによると、その長期的な目標は、すべての人を最も適した仕事に結びつけることだという。将来的には、弁護士を法律事務所に、医師を病院に紹介できるようにしたいと考えている。しかし、当面の収益源はAIの訓練であり、Scale AIの存在感が薄れつつある今、その状況はしばらく続きそうだ。「彼らはこの分野に非常に大きな空白を生んだ」とフーディは指摘した。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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