遠い未来への長期計画を立てるのが、人類などの大型類人猿は不得手だ。現生人類ホモ・サピエンスは高度に社会化された動物で、必要に応じて協力する傾向があるが、隣の一族と言い争いになる傾向もそれと同じくらい強い。その場所が太古の東アフリカのサバンナであっても、現代の隣近所であってもだ。
しかしながら、アインシュタインが100年以上前に相対性理論で明らかにした宇宙の物理法則を、高度知的文明が克服しようとするならば、長期計画の策定は欠かせない取り組みとなる。
英デモントフォート大学の進化人類学者のキャサリン・ブライソンは、オックスフォードで応じた取材で、世代間宇宙船、冬眠、自己複製宇宙機や(物理的に可能だとすれば)空想技術の時空制御技術などにより、恒星間距離を横断する道筋では、物理的・技術的な問題と同程度に、文明規模の協調と関与の側面が問題となると語っている。
一方、宇宙における人類の潜在的な同胞は、味方になるにせよ敵になるにせよ、人類文明が悩まされているのと同じ問題のいくつかが足枷となるに違いないとも、ブライソンは考えている。
これはすなわち、気候変動や持続可能な農業、長期有人宇宙飛行などの重大な社会的課題の克服に集中して取り組めないことだ。
その核心は、「収斂」として知られる進化の概念にある。
ブライソンは、アイスランドの首都レイキャビクで7月に開かれた欧州宇宙生物学学会(EAI)の隔年例会「BEACON 25」での講演で、環境から類似する制約が課される場合、進化は類似する解決策を見つけると主張している。収斂進化とは、コウモリと鳥の飛行のように、全く無関係の系統の生物に類似する形質が独立して現れる現象のことだと、ブライソンは講演で言及した。飛膜や翼は、必然的に現れるのではなく、適切な進化的圧力の下で統計的に出現可能性が高くなるのだという。
地球では社会的形質が異なる生物種の間で収斂していると思われるならば、この広大な宇宙のどこかで同様のことが起きているだろうとしか他に考えようがないと、ブライソンは講演で述べた。
基本的な機能
目、頭部、尾、生殖器などは収斂的で、排泄系の形態の中にも収斂的なものがある。だが、ブライソンによると、行動様式もまた収斂進化を示す場合が多い。



