暗号資産

2025.09.08 11:30

暗号資産XRPのリップルと米SEC双方が控訴取り下げ、今後5年の動向を探る

Shutterstock.com

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規制の在り方が不確実な時期が長く続いた後で、2025年8月に米国証券取引委員会(SEC)とRipple(リップル)の双方が控訴を取り下げたことを受け、同社が主導する暗号資産「XRP」の米国における運用は、はるかに明確な環境下で行われるようになった。

この決着により、2023年における地方裁判所の裁定、すなわち、「公的取引所におけるXRPの販売は、有価証券取引には当たらない」という判断は維持された。これにより、長年にわたって機関投資家による採用を妨げてきた主要な懸念材料が取り除かれたことになる。

この訴訟を背景に、今後5年間におけるXRPの姿は、XRPが「投機を超えた実用性」をどれだけ速く成長させられるかによって変わるだろう。それは、リアルでのペイメント・コリドー(送金経路)や、より深い流動性を持ち、伝統的な金融商品と統合することを意味する。

この記事では、XRPのファンダメンタルズ、市場での位置づけ、そして2030年までにその価値を決定付ける可能性のある要因について解説する。

XRPとリップルを理解する

XRPは、低コストかつ高速な決済に最適化された分散型ブロックチェーン「XRP Ledger(XRPL)」のネイティブ・トークンだ。デジタル台帳から、3~5秒で取引を処理し、手数料は通常0.01ドル以下だ。

XRPLは2024年3月、「XLS-30」の修正を通じて、ネイティブの自動マーケットメイカー(automated market maker:AMM)を導入した。このオンチェーンAMMにより、流動性プロバイダー(liquidity providers[LP]:金融市場に売買注文を供給し、取引の円滑化を図る事業者や個人)は利回りを得ることができ、トレーダーは、中央集権化された仲介者なしで、アセットをスワップできるようになる。これは、XRPと、発行されたトークンの流動性を深め、効率を改善することを意図した機能だ。

リップルは、サンフランシスコを拠点とするフィンテック企業であり、銀行や決済サービスプロバイダー(PSP)、フィンテック企業にサービスを提供するクロスボーダー決済ネットワーク「リップル・ペイメント(旧リップルネット)」を運営している。

このプラットフォームは、90以上の市場と55以上の通貨に拡がっており、金融機関は、フィアット通貨(法定通貨)、ステーブルコイン、XRPのいずれかを使って、取引の決済ができる。どの経路であれ、スピード、コスト、コンプライアンスが最適にブレンドされた形で提供されるアセットを選択できる。

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翻訳=ガリレオ

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