働き方

2025.09.06 11:00

Z世代は職場で何を隠している? 「静かなカバーリング」の実態と7つの弊害

Shutterstock.com

Z世代が職場で隠しているもの

Z世代は仕事の進め方を変えているだけでなく、職場のルールを静かに、多くの場合、気づかれないように書き換えている。Hu-XとHiBobの調査はZ世代の眼差し、つまり若い世代の一部の人が見せる一見感情がなく無関心そうな表情について、もっと明らかにできるかもしれないことを示唆している。Z世代はベビーブーマー世代の2倍以上、自分が何者であるかを職場で隠す傾向があり、56%が人事部との会話でも自分を隠していると答えている。

advertisement

Z世代の半数近くが、昇進しやすいよう社会人としての良好なイメージを植え付けるためにメンタルヘルスの問題やセルフケアの習慣、あるいは過去の経験を隠していると報告している。Z世代の眼差しは、気持ちの面で消耗するように感じられる職場の規範に対する自己防衛的な反応だと、カッツは見ている。

「いわゆるZ世代の眼差しは静かかもしれないが、受動的なものではない」とカッツは言う。「一見、無関心に見えるものは能動的で計算された自己防衛であることが多い。(能力ではなく)自信や情緒応答性、企業文化に対する目に見える熱意が業績評価の基準として扱われる、「常時オン」文化が蔓延している職場に対処するために、彼らが取り入れている非言語的な境界線だ」

また研究によると、Z世代とミレニアル世代は昇進や昇給、ボーナスの可能性を高めるため、また、良い年度末の業績評価を確保するため、差別を回避するため、社会的に受け入れられるために、戦略的に静かなカバーリングを行うという。「彼らが過度に神経質だったり、自信がないわけではないと思う」とカッツは推測する。「むしろ、現在みられる社会的な大転換の重荷を背負っている」

advertisement

調査に参加したZ世代の55%にとって、社会人としての強いイメージを維持することが大きな動機となっており、そのためにカバーリングをしていると回答している。若い労働者は、従来の職場の期待に沿わないかもしれない私生活の側面を、見せないようにする傾向があるのかもしれない。

これは不快以上のものだと、カッツは強調する。「創造的に全力で仕事に打ち込む代わりに、どう思われるかを管理することにエネルギーを費やすのだ。やがてパフォーマンスは低下し、成長は鈍化し、自信は失われていく。多くの人にとって、それは疲れるだけでなく、持続不可能な状態だ」

Hu-XとHiBobの研究では、Z世代が職場で静かなカバーリングをすることで生じる7つの結果を指摘している。

1. 中度から重度のストレスを引き起こす(64%)

2. 生産性と効率を低下させる(54%)

3. キャリアアップを妨げる(40%)

4. 仕事に対する意欲を低下させる(56%)

5. 仕事以外の生活に影響を与える (43%)

6. 創造性と革新性を制限する(55%)

7. パフォーマンスを低下させる(47%)

PR Newswireで公開された調査によると、Z世代の労働者はより効率的にコラボ作業を行う目的で、会議のメモの要約やコーディング、アイデア出しなどの作業を迅速化するために人工知能(AI)ツールを使用しているが、上司に伝えることなく密かに行っていることが多い。

研究者たちは、Z世代が職を失うことを恐れてAIの使用を隠し続けているのではないかとみている。Z世代とミレニアル世代の労働者の47%が、AIに仕事を奪われるかもしれないと懸念している。また、これらの世代の3割は会社のAIに関する規範をよく知らないという。63%が、プライベートで使っているアプリやソフトウェアを業務目的で使用していると報告している。研究者らは、これは組織にとって重大なセキュリティリスクを生じさせる可能性があると結論づけている。

次ページ > 組織にとって「真のリスク」

翻訳=溝口慈子

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事