成功するパートナーシップとは
言うまでもないことだが、技術提携のすべてが順調に進むわけではない。推定では、事業提携の最大80%が1年以内に失敗に終わる。試練に耐えて真のイノベーションを成功裏に推し進めたケースを見ると、そこでは、ある一定の基礎的な特徴が共通している。
技術提携に最も欠かせない基礎的ポイントの一つは、組織の重要業績評価指標(KPI)をしっかりと理解することだ。KPIを指針にすれば、技術革新に向けてしかるべき成果に焦点を合わせることができ、パートナーの目標に寄与しない取り組みに対して、時間を無駄に注ぎ込まずに済む。
ITコンサルティング会社、IT Select(ITセレクト)の創業者ジョーダン・ソレンダーは、ウェブメディア「CIO」のインタビューでこう語っている。「ITにおけるパートナーシップ成功の決め手は、適切なタイミングで、適切なテクノロジーを生み出せるかどうかだ。それが実現するのは、KPIがその提携関係においてどうあるべきかを、双方が明確に理解した場合に限られる。それらのKPIは、パートナーたちがどのようにして協働を進めるか、さらにはどのような技術的ソリューションを選択するか、を知る上での指針となる。最高のパートナーたちは、特定の関係におけるニーズにもとづいて自らの取り組みを順応させる方法を理解している」
価値があり、長続きするイノベーションを実現できるパートナーシップを構築する際のもう一つの重要なポイントは、提携に参加する双方の企業文化とゴールが両立し得るかどうかだ。企業文化を適合させるためには、双方が似通った価値観を有していると同時に、パートナーシップの在り方や、コミュニケーション、協働の進め方について、共通の姿勢を持っている必要がある。
パートナーシップの構築と規模拡大に役立つ手段
こうしたつながりをつくり上げていくときには、体系的なアプローチが必要になる。パートナーシップの性質は今後、よりダイナミックで、密接に一体化したものへと進化していくだろう。
以下では、パートナーシップの構築と規模拡大に役立つ手段を紹介しよう。
1. エコシステムのマッピング:直接的な競合他社のみを分析してはいけない。自社のバリューチェーン全体を詳細にマッピングしよう。サプライヤー企業はどこか。補完的サービスを提供しているのはどの企業か。自社が携わる分野の研究を先導しているのはどの大学か。このようにしてエコシステムを視覚化すれば、一見するとわかりにくいパートナーシップのチャンスが見えてくる。
2. パートナーシップ管理プラットフォーム:自社のエコシステムが拡大するにつれ、それをスプレッドシートで管理することは難しくなっていく。そこで役に立つのが、企業や組織同士の連携を管理するCrossbeamやRevealといったツールだ。提携先とデータを安全に共有し、重複する顧客や機会を特定できるので、自社のエコシステム全体で共有可能な共通の顧客関係管理(CRM)がうまく構築される。
3. 構造化されたイノベーション・プログラム:多くの企業は現在、ベンチャーキャピタル部門やアクセラレーター、イノベーションラボといった正式なプログラムを運営している。こうしたプログラムは、有望なスタートアップを発見して支援し、提携を結ぶことを目的としており、外部のイノベーションを社内に取り込む専用パイプラインとしての役目を果たしている。
4. AIを使ったマッチング:企業同士を結びつけるためのビジネスマッチング用AIプラットフォームが、今後増えていくだろう。そうしたシステムは、市場データや財務報告書、特許申請のほか、企業文化を示すシグナルも分析して、提携先として有望な企業を、適合性の予測スコア付きで積極的に提案してくれる。


