IFT12でV3の弾道飛行(周回軌道に乗らない軌道での飛行)が行われ、ラプター3が健全に機能することが確認されるとともに、軌道上での再点火にも成功すれば、IFT13以降にシップは地球を1周してテキサスに戻り、メカジラと呼ばれる発射台タワーへの捕獲着陸に挑む可能性がある。その実施に関してマスク氏は、「スターシップ(上段)のキャッチは、おそらくIFT 13から15になるだろう。その実施時期はV3仕様の飛行がどれだけ上手くいくかによる」と、コメントしている。
赤くサビた理由
スターシップの開発においてヒートシールドは、もっとも難易度の高い課題のひとつとされる。スペースXでは、下段のブースターと上段のシップの双方を、ともに再利用することを目指している。かつてのスペースシャトルや、スペースXが運用する宇宙船ドラゴンでは再利用化が実現されているが、それらは着陸後にヒートシールドの補修作業が必要となる。
しかし、スターシップは地表に戻ってから、わずか1時間後の再打ち上げが想定されているため、大気圏再突入時に2000度近いプラズマにさらされたあとも、無傷な状態であることが求められる。こうしたスペックを持つ宇宙機は、これまでに存在しない。
今回のIFT 10では、プラズマにさらされる風上側のタイルを意図的に外し、ステンレス鋼合金による船体のストレステストが実施された。また、セラミック以外の金属タイルも試されたようだ。その結果、インド洋に着水するシップの機体表面はオレンジ色に変色し、ノーズ(機首部分)は白く変色した。
シップの変色に関してSNS上では多くの憶測が流れたが、テストから2日後、マスク氏は以下のようにXに投稿し、その結果が良好であることをアピールした。


