24年9月には渋谷・センター街でゲリラ路上ライブを開催した。VTuberの路上ライブも、もちろん異例の試みだ。
「すごく面白かったし、本当にいい経験になりました。私、もともと路上ライブへの憧れがあって。渋谷とか新宿を歩いていて路上でライブをやっている人を見るたびに『私もやってみたいな』と思っていたんです。だからスタッフさんに『路上ライブやりたいです』と最初に言った時は『え?』みたいな感じの反応だったんですけど『私の夢だからやりたい』ってゴリ押しして。そしたら本当に面白い経験になりました。告知していないのでファンが集まるわけじゃないから、全然知らない人が面白そうって思って立ち止まってくれる。『私のこと知っている人いる?』って聞いたら『今知ったよ!』って言ってくれたりして。すごく楽しかったです」
進んだ道のりはまだ42%
なぜ星街は、バーチャルアイドルとして先陣を切ってその道を切り開けたのか。そしてなぜ、バーチャルからリアルへと活動の幅を広げてきたのか。
「幅を広げなきゃ、という気持ちというよりは、バーチャルであることが不自由なことになっちゃだめだなと思っているんです。バーチャルだからこそ、もっと自由度高くいろんなことをやっていきたいと思っていて。やりたいことや憧れていることを、バーチャルだからという理由で諦めたくない。『これだったら今の技術でも実現できるかな』っていつも限界を探しています」
2025年1月には「革命」をテーマにした3rdアルバム『新星目録』をリリース。同年4月に配信リリースしたTVアニメ『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』のエンディングテーマ「もうどうなってもいいや」も注目を集めた。VTuberとしてというより、ひとりのアーティストとして存在感を強めている。
「自分のいるフィールドを広げたい、たくさんの人に知ってもらいたいというのが、自分にとっての当たり前。小さなコミュニティでずっとやっていけばいいやという性分じゃないんです。『そっちのほうが楽しいかも』という気持ちが大きいんですね」
武道館を終えて、新たな夢は東京ドームに定めた。VTuberという存在を世に根付かせる。その“革命”はどこまで成し遂げられたのか。最後に問うと星街は「全然できてないと思っています」と答えた。「1月にアルバムを出した時に同じことを聞かれて、たしか39%と言っていたのですが、武道館が終わった今だと42%くらい。まだまだですね」
ほしまち・すいせい◎2018年3月に個人VTuberとしてデビューし、19年12月にホロライブに所属。歌唱だけでなくMV、ライブ演出、作詞なども手がける。YouTubeでは歌枠、ゲーム、雑談、ライブ配信を中心に活動。24年3月にリリースした「ビビデバ」はストリーミング総再生数1億回超え。25年2月には武道館公演を成功させた。



