24年発表の「ビビデバ」はVTuber初のストリーミング累計1億回再生を記録し、さらなるスマッシュヒットとなった。映像ユニット「擬態するメタ」が手がけた2次元と3次元が交錯するミュージックビデオもYouTubeで1億4000万回以上回った。世界三大広告賞とされる「クリオ賞」の音楽部門を受賞するなど国内外に反響が広がった。
「この曲をつくったときに、『令和のシンデレラを描きたい』と考えていました。今の子たちはTiktokやYouTube Shortsに自分をかわいく見せる動画を投稿していますよね。そういうのって誰かのためにやっているわけじゃなくて、自分がかわいくなりたい、自分が自分を可愛いと思いたいからやっていると思うんです。そういう『自分のためにかわいくなる』ということをテーマにした曲をつくりたいと、作曲を依頼したツミキさんにお話しして」
24年リリースの「ビビデバ」はストリーミング累計1億回再生を記録。MVもYouTubeで1億4,000万回以上再生された。
擬態するメタのふたりとはMVと制作の過程で「“今の女の子ってこうだよね“と決めつけると、またそれも多様性の否定になっちゃうから、それよりも“星街すいせいはこうです”という方向性で考えてみよう」といった会話をした。「結果的には私自身のメッセージ性を詰め込んだ曲とMVになったと思います」。
「ビビデバ」のヒットで活躍の場はさらに広がり、地上波の音楽番組への出演も増えた。けれどそこにも新たな困難があったという。
「大変だったことはふたつあって。ひとつはVTuberのことが好きじゃない人たちからの風当たりが強かったこと。もうひとつは地上波音楽番組って、当たり前ですが、リアルなアーティストが集まっているところなので、バーチャルが異例なんですよね。それを組み込もうとすると一筋縄ではいかなくて、いろんなハードルがあるんです。そこでバーチャルの不自由さを感じました。バーチャルがもっと楽に外に出ていくにはどういう技術がいるんだろうということを考えるきっかけになりました」
リアルな場への進出はそれだけではない。23年9月には熊本県で開催された野外フェス「阿蘇ロックフェスティバル」に出演し、VTuberとして初の野外音楽フェスのステージに立った。24年末には年越しの大型音楽フェス「COUNTDOWN JAPAN 24/25」にも出演した。
「フェスはひとつの挑戦になりました。阿蘇ロックでは野外ならではの調整がすごく大変でした。COUNTDOWN JAPANのときも出順が途中だったのでステージの組み換えができなくて、それも大変でした。でも、終わった後に、協力してくれたスタッフさんとかバンドメンバーの方に『本当にすごかったですね』とか『かましてやりましたね』みたいに言われて。そこで実感が湧いてくる感じでした」


