Terawulfと4700億円規模の契約、グーグルが異例の債務保証
一方、Fluidstackは今もなお、外部のデータセンターやチップを借りている。先月、同社はナスダック上場のビットコイン採掘企業Terawulfと32億ドル(約4700億円)規模のリース契約を結び、ニューヨーク州北部で建設中の360メガワット規模のAIデータセンターを利用する計画だ。
この契約には異例の条件が付いていた。Fluidstackが支払いを滞らせた場合、グーグルが契約を保証するか、あるいはTerawulfが建設中のデータセンターのリースを引き継ぐというものだ。グーグルは、この契約の見返りとして、時価総額が35億ドル(約5200億円)のメリーランド州拠点のTerawulfの株式14%に相当するワラント(新株予約権)を取得した。
これまで公表していた資金調達額がわずか450万ドル(約7億円)だった同社にとって、このグーグルが保証する契約は破格の規模だ。年次報告によれば、Fluidstackは以前に2470万ドル(約37億円)の非公開のSAFEラウンド(投資家に将来の株式取得を約束する資金調達)を実施していたほか、2024年のある時点で3750万ドル(約56億円)の借り入れを行っていたことが判明した。これらの取引は、これまで報じられていなかったもので、投資家や貸し手の名前は開示されていない。ブルームバーグは2月、Fluidstackが最大2億ドル(約300億円)の調達について投資家と協議していると報じていた。
それでも、Fluidstackの調達額は、他のAIインフラ企業と比べれば小さい。すでにナスダックに上場したCoreWeaveやNebius、あるいは100億ドル(約1.5兆円)の評価額で10億ドル(約1500億円)の調達交渉を進めているとされるCrusoeと比べれば、まだわずかな規模にすぎない。
エヌビディア製GPU担保に最大1.5兆円借入承認、CoreWeaveを上回る調達規模
Fluidstackは、成長資金の調達にあたり、ベンチャーキャピタルではなく主に借入に依存してきたようだ。同社は4月、調達中のエヌビディア製GPUを担保に資金を借り入れる契約をオーストラリアの投資銀行マッコーリーと結んだと発表した。このGPUを担保にした融資手法は、ニュージャージー州に拠点を置くCoreWeaveが先駆けて導入したもので、返済が滞れば貸し手がGPUを差し押さえることができる。
ニュースサイトThe Informationによると、Fluidstackはマッコーリーやその他の貸し手から、GPUを担保に最大100億ドル(約1.5兆円)を借り入れる承認を得たという。この金額は、CoreWeaveが今年3月のIPO(評価額230億ドル、約3.4兆円)に先立って調達した負債81億ドル(約1.2兆円)を上回る。さらに、Fluidstackが2025年に予定するこの借入規模は、単独で、昨年AIデータセンター関連のスタートアップ全体が調達した資金(負債とエクイティの合計200億ドル、約3兆円)のほぼ半分に相当する。。
AIインフラ投資は世界で55兆円規模に、市場の過熱と先行きに懸念の声
AIインフラへの巨額投資に対しては、警鐘を鳴らす声も出ている。投資銀行UBSは、世界全体で企業が今年、AIインフラに3750億ドル(約55兆円)を投じると見積もる一方、その規模の大きさから「消化不良」に陥る可能性を警告した。米国では企業のAI投資、とりわけデータセンターへの投資が、GDP比で消費支出を上回る規模に達している。
CoreWeaveはこの分野全体の先行指標のような存在となってきた。同社の時価総額は6月に880億ドル(約13.2兆円)へと急騰したが、IPO後のロックアップ期間が終了すると、株価はピークから4%下落した。また、投資家は、同社がビットコイン採掘企業Core Scientificに90億ドル(約1.3兆円)で買収提案を行ったことや、同社の損失が拡大し、75億ドル(約1.1兆円)にのぼる未払債務を抱えていることを懸念している。


