「遊休GPUのマーケットプレイス」から売上98億円へ急成長、しかし収益は赤字に
ロンドンを拠点に2017年に設立されたFluidstackは、数年をかけてようやく急成長する市場に食い込んだ。創業当初は「遊休GPUのマーケットプレイス」だった同社は、安価なAIチップを求めるスタートアップやホビイストと、個人ゲーマーの未使用GPUとをマッチングするサービスを提供した後に、企業やデータセンターのサーバー全体と結びつける仕組みに拡大した。2022年11月のChatGPTの登場以前は、こうした取引はニッチなもので、同社の年間売上高はわずか180万ドル(約3億円)にとどまっていた。
Fluidstackの収益は、2023年には3000万ドル(約44億円)に急増した。昨年はさらに倍増し、6620万ドル(約98億円)に達したことが英国の企業登記所Companies Houseへの年次報告書に記されている。しかし、同社はこの期間に、172万ドル(約25億円)の黒字から赤字に転じており、昨年は73万5000ドル(約1億円)の損失を計上していた。Fluidstackはコメントを控えている。
米国依存を問題視し欧州競争力を強調
Fluidstackは昨年、売上高のほぼ半分を米国での契約から得ており、同社はメタのような巨大IT企業とも取引があると主張している。同社はまた、フランスの大規模言語モデル(LLM)研究所のMistralや、AI画像・動画スタートアップのBlack Forest Labs、AIコード生成のPoolsideなどの欧州企業とも協業している。
英国での企業登記資料によるとFluidstackは、2月にフランス政府との契約を発表して以降に、フランスやアイスランド、ノルウェー、アルゼンチン、米国での事業展開を担う現地法人を立ち上げている。
一方でマクラリー社長は、米国企業への依存を問題視する。BFMとのインタビューでは、Fluidstackを「欧州の競合」と位置づけ、CoreWeaveのような「ネオクラウド」や、グーグル、アマゾンといった市場を支配する巨大IT企業に対抗していく姿勢を示した。ネオクラウドとは、GPUクラウドに特化した新興事業者を指す表現で、AWSやAzure、Google Cloudなど従来型「ハイパースケーラー」と区別するために使われることがある。
「私たちは今や、データの大半を米国のハイパースケーラーに依存する事態に陥っている。フランスにはエネルギーや人材、そして主要インフラの観点から成功に必要な資産がすべてそろっている。この機会を逃してはならない」と彼は語っていた。


