ビジネス

2025.09.05 09:00

53%の経営幹部が利用──AIエージェントはリーダーシップと意思決定を変革しつつある

Aleutie / Getty Images

リーダーと管理職が今すべきこと

すでに生成AIの導入経験があるビジネスの意思決定者は、この点で有利だろう。しかし、AIエージェントには異なるアプローチが必要であり、それはAIエージェントが本来得意とする長期的な戦略計画タスクにより適したものだ。

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AIエージェントはより大局的で目標指向であり、使う側の考え方もそうあるべきだ。ChatGPTがメールの下書きを作成できるのに対し、Manus(マヌス)やOperator(オペレーター)のようなエージェント型プラットフォームは、メールマーケティング戦略を立案し、それを実行するためのインフラを構築することができる。

ただし、こうしたことは少なくとも理論上は可能だが、これらのツールの早期導入者からは、まだ必ずしもうまくいくとは限らないという報告が頻繁になされている点には留意が必要だ。

一般的な利用の観点からいえば、AIエージェントは単に進化したAIチャットボットではないことを覚えておくことが重要だ。何かを作成するための最善の方法についてチャットしたり、アイデアをやり取りしたりするようには設計されていない。それはChatGPTが得意とすることである。

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AIエージェントは、その「思考」プロセスで大量のトークンを消費するため、高価になる可能性がある。したがって、何を望むかを明確にした上で、それをどのように達成してほしいかをエージェントに明示的に指示するのが最善だ。

さまざまなデジタルツールとの連携に備える

AIエージェントの大きな強みの1つは、ウェブブラウザーを使ってオンラインショッピングをすることから、複雑な産業機械を制御することまで、人間と同じようにデジタルツールを使えることである。これに備えるには、独自開発のシステムやレガシーシステムがAIエージェントと円滑に連携できるようにする必要があるかもしれない。あるいは、標準化が進んでおり、一般的なツールがエージェント型エコシステムと連携できるよう迅速に修正される可能性が高い、オープンソース技術への移行を決断することも考えられる。

適切に文書化されたAPI

次のヒントは、AIエージェントがその潜在能力を最大限に発揮するためには、適切に文書化されたAPIを介して、価値が高くタイムリーなデータが高速でストリーミングされるアクセスが必要になるということだ。この点で体制が整っていない組織は、追いつこうとする中で機会を逃す可能性が高い。

ガードレール(保護策)、監視、説明責任の必要性

そして、絶対的に重要なこととして、リーダーは倫理的なAI利用の原則を理解するための、安全で責任ある措置を講じなければならない。AIに人間に代わってより多くの意思決定を行う力を与える段階に進む中で、ガードレール(保護策)、監視、そして説明責任の必要性がこれまで以上に重要になる。

自律型組織とリーダーシップにおける人間の未来

機械が正しい行動方針を予測することに長け、人間が不要になる時点が来るのだろうか。私たちむしろ足手まといにさえなり得るのだろうか。

まあ、いつかはそうなるかもしれない。この技術が10年後はもちろん、2、3年後にどこまで進化しているかを予測するのは非常に困難だ。

しかし1つ確かなことは、人間の脳は最高のAIよりもまだはるかに複雑であるということだ。その複雑さゆえに、人間は微妙な状況を理解し、複雑な人間関係を乗りこなし、当面はコンピューターにはおそらくできないであろう方法で、精緻かつ長期的な戦略計画を立てることができる。

これは、人間のリーダーがその権限を機械に完全に委譲する準備はまだできていないことを意味する。その代わりに、リーダーたちはより優れたリーダー、より効果的な意思決定者になるために、AIエージェントに助けを求めることになるだろう。

forbes.com 原文

翻訳=酒匂寛

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