スペースXの大型ロケット「スターシップ」が鍵を握る、2030年代の本格操業
インタールーンの開発スケジュールは、スペースXの大型ロケット「スターシップ」が2030年代初頭までに月面輸送サービスを提供できるようになるという前提に基づいている。同社はその頃までに、本格的な操業を開始することを目指しているが、最近のスターシップの試験打ち上げで失敗が相次いだことは、この目標の達成を脅かしている。
さらに、インタールーンが将来的な成長を見込む理由のひとつは、スターシップがもたらす打ち上げコストの大幅な削減にある。スペースXは、当初の地球低軌道に到達する費用を1億ドル(約147億円)程度と見積もっているが、最終的には2000万ドル(約29億円)まで引き下げることを目標としている。さらに、ペイロード能力は100トンに達し、インタールーンの採掘拠点に必要な機材を1回から2回の打ち上げでまとめて運ぶことが可能になる見込みだ。マイヤーソンによれば、ブルーオリジンが開発中の月着陸船やその他の小型機を利用する可能性もあり、その場合は打ち上げ回数が増え、コストも高くなるという。
もうひとつの重要な課題は、採掘場所の選定が正しいかどうかだ。インタールーンは今年後半、アストロラボの探査車に搭載した分光カメラを月に送り込み、月の地質に関するリモート観測の解釈が正しいかどうかを確認する計画だ。さらに2027年には、候補地のひとつに探査ミッションを送り、実際の月の表土試料を分析する予定だ。
ヘリウム3採掘は第1歩に過ぎず月面インフラの構築も視野に入れる
インタールーンは、採掘だけでなく、米国が月面に迅速にインフラを築く手助けも担いたいと考えている。マイヤーソンによれば、同社がVermeerと開発している掘削技術は、月や火星で道路を建設したり、配管を敷設するための溝を掘ったりするのにも役立つ可能性があるという。同社は最終的には、工業用金属やレアアース、ロケット燃料の原料となる物質の採掘にも拡大する構想を描いている。そして、その第一歩がヘリウム3の採掘だ。
シュミットは、鉱山地質学者だった父の銅などの金属探査を米国南西部で手伝いながら育った。彼は今、月で巨大鉱床を掘り当てるという長年の夢を実現できるかもしれないことに胸を躍らせている。そして、それが地球にも大きな影響を及ぼすと信じている。
「安定した供給が実現すれば、あらゆる新しいことが可能になるだろう」とシュミットは語った。


