AI

2025.09.04 14:00

「分散型AI」で巨大企業の利益独占を防ぐ 学習データの提供者にも報酬を与えるガイアラボの挑戦

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ガイアネットの仕組み

ガイアネットはコンピューティング、アイデンティティ、データ権利、決済を管理するモジュール式のビルディングブロックを提供している。開発者はAIエージェントのテンプレートを選択または設計し、自身が保有するデータを接続した上で、ガイアネットの分散ネットワーク上で実行するか、自社インフラで運用するかを選択できる。

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そこから先は、ガイアネットがコンプライアンス、本人確認、決済を自動化する。導入が完了すると、AIエージェントはタスクの実行やユーザーへのサービス提供に加え、利用状況の記録を行う。得られた報酬は、コンピューティング、データ、専門知識を提供した貢献者に分配される。

Fetch.ai(フェッチAI)やSingularityNET Foundation(シンギュラリティネット財団)といった競合も分散型AIに取り組んでいるが、その多くはトークン経済やマーケットプレイスといった限定的な機能に焦点を当てている。一方、ガイアラボはエンドツーエンドのインフラを提供し、開発者が複数のツールを組み合わせる必要をなくすことで差別化を図っている。

ガイアラボ創業者の哲学

ガイアネットの構築にあたり、ライトは技術と並んでマインドセットを重視したという。その背景にあるのは、AIの真価はモデルそのものではなく、その発展を支える人材や組織にあるという信念だ。

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「まさにそこに革新の源泉がある」とライトは語る。「AIが変革をもたらすのであれば、貢献者にコントロールを与えず、搾取を続けることは許されない。インセンティブを根本から整合させるよう再設計する必要がある」。

ブロックチェーンからクリエイター向けプラットフォームに至るまで、権力は中央集権的な仲介者から参加者へと移りつつある。ライトの哲学は、こうしたテクノロジー領域における大きな潮流と呼応している。

AIの枠を超えて重要である理由

研究者向けの議論に映るかもしれないが、その影響はあらゆるレベルに及ぶ。スタートアップにとって、ガイアラボは仲介企業を介さずにAIを自由に構築できる環境を提供する。大企業にとっては、自社の独自データや機密情報を活用しつつ、責任ある形でAIを訓練する道を開く。さらに個人にとっては、自宅のGPUから専門的なデータセットに至るまで、その貢献が正当に評価され、報酬として還元される。

実質的に無償ライセンスを提供するオープンソース型のアプローチは、企業や個人が独自のAIを開発し、特定の企業やLLMに依存しない「エージェントのインターネット」を実現するうえで極めて重要だ。

政策立案者にとっては、ガイアラボが提供する高い透明性を備えたインフラは、世界中で問題視される不透明な中央集権型システムに代わる有力な選択肢となり得る。

参加型の未来を切り拓く

分散型システムは調整の難しさを抱えるうえ、ガイアラボは時価総額数兆ドル規模の巨大企業との競争に直面している。それでもライトは、環境が着実に変化しつつあることを確信している。

AIが日常生活に浸透するにつれ、そのコントロール権を誰が握るかという課題は緊急性を帯びている。ガイアラボは貢献者を中核に据えることで、単なるプラットフォーマーの枠を超え、拡大しつつある参加型AIにおいて確固たる存在感を示している。

「AIの未来は、一握りの企業だけのものではなく、それを創り上げる全ての人々のものであるべきだ」とライトは語った。

forbes.com 原文

編集=朝香実

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