テクノロジー

2025.09.09 07:15

津波注意報発令、ドローンが一宮町職員の代わりに海岸へ急行

プレスリリースより

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千葉県一宮町は、万一の場合の津波の被害を軽減し、同時に町職員の安全を確保するために、避難広報と状況確認を自動で行う防災ドローンシステムを導入した。先日のカムチャツカ地震の際には、津波注意報の発令を受けてドローンが出動し、「本番」の状況でその有効性が示された。

一宮町は今年、津波災害対策として約7.5キロメートルにわたる海岸線を飛行し、避難の呼びかけや津波の被害状況の確認を行う津波避難広報ドローンシステムを導入した。ブルーイノベーションが提供する「BEPポート|防災システム」だ。全国瞬時警報システム(Jアラート)と連動してドローンを自動的に出動させ、避難誘導や被害状況の把握を一元管理できるというもの。

一宮町役場の屋上に設置されたドローンポート。
一宮町役場の屋上に設置されたドローンポート。

これまで試験運用を行ってきたが、実働は今回が初めて。2025年7月30日午前8時25分、カムチャツカ地震による津波注意報が発令されると、職員は「これはドローンが飛ぶぞ」と町役場の屋上に駆け上がった。すると、屋上に設置されたドローンポートからドローンが舞い上がるのを見ることができて安堵したという。

一宮町津波避難広報ドローンシステムの運行ルート(ブルーイノベーション公式ホームページより)。
一宮町津波避難広報ドローンシステムの運行ルート(ブルーイノベーション公式ホームページより)。

その後、津波情報発令のたびに4回出動し、海岸にいる人たちの避難状況を手動で確認するなどの操作も行った。幸い、避難誘導を行わずに済んだが、現場に職員を派遣することなく状況確認などが行えることの「安心感は大きかった」ということだ。

「ドローンが飛んだら避難する、というのが全国的に常識になる未来を期待しています。今は一宮町が珍しい取り組みをしている段階ですが、これが広く普及し、常識になれば多くの命を守れるはずです」と一宮町役場防災行政係長の河内俊氏は話す。

東日本大震災では、津波の避難誘導にあたった大勢の人たちが命を落とすという痛ましい経験をした。こうしたシステムがあれば、あのような悲劇を繰り返さずに済むであろうことが、今回実証されたわけだ。

プレスリリース

文 = 金井哲夫

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