その実現に向けてJRが欧州各地から呼び寄せたのが、最も才能豊かで「圧倒的なレベルの専門技術を持つ」大理石、ステンドグラス、木象嵌、その他の職人たちだった。
JRは特に、木象嵌のAtelier Philippe Allemand(アトリエ・フィリップ・アルマン)の技術について、こう語っている。
「私たち(のスタジオ)が用意した下絵をすべて、実在するものにしてくれました」
「それは、一夜にしてなし得るようなことではありません。適切な木材を見つけ、それがどのように光を通すのか、慎重に考えなければなりません」
好奇心をくすぐる「隠された仕掛け」
真のアイコノクラスト(因習を打破する人)として、JRはこれまで巨大なアート作品を手がけ、それによって評判を得てきた。その彼にとって、小さなスペーで作品を完成させることは、新たな難題をもたらすことだったという。
だが、カリフォルニアの不毛の砂漠地帯でも、ナイロビのスラム街でも完全にイマーシブな(没入型の)体験を作り出してきたJRは、客車の中でも同じことを成し遂げてみせた。
その中で妥協することができなかった要素のひとつが、円形の天窓(オクルス)をつけることだった。旅客は夜空と星を眺めながら、国境を越えることができる。VSOEの素晴らしいエンジニアたちのおかげで、列車の客車としては初めて、設置を実現することができたという。
この特別な客車は、単なる特注のアート作品ではない。驚くほど素晴らしい風景を眺めることができると同時に、不思議な魅力を持つJRの世界に足を踏み入れることになるものだ。そこには隠れた小部屋や秘密のメッセージなど、旅人たちの好奇心をくすぐるいくつもの仕掛けが用意されている。JRが特に気に入っているのは、列車の模型を設置したティールームのエリアだ。
JRはこの「オプセルヴァトワール」について、こうも述べている。
「隠されたメッセージを見つける人も、見つけない人もいるでしょう。それを明らかにするためには、乗ってみるしかありません」


