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2025.09.03 11:45

サントリー新浪会長が辞任——CBDかTHCか、揺れる真相

viennetta / Shuttterstock.com

今回の事件をどう見るか

報道によれば、新浪氏はアメリカでCBD製品だと思っていたサプリメントを知人から送ってもらい、税関でTHCが検出されたとのことです(朝日新聞記事)毎日新聞(記事リンク)。また、Z李氏らのSNSポストには「売人のタレコミで捜査が入ったが違法物は出なかった」といったニュアンスのポストも見られました。また、文春からはサントリーアメリカの社長から女性を紹介されCBDを勧められ、送ってもらった。とあります。

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ここからはあくまで推測ですが、以下の流れが浮かびます。

(1)売人が逮捕され、新浪氏の名前を挙げた。
(2)その真偽は不明だが、内偵対象になった。
(3)その最中、税関で新浪氏宛ての荷物からTHCが検出され通報があった。
(4)売人ルートと税関ルートが重なり、家宅捜索に踏み切った。
(5)しかし違法薬物は発見されず、尿検査も陰性だった。

この場合、恣意性の立証は困難であり、事件は終息に向かう可能性が高いでしょう。

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今回の事件から考えうる第一のシナリオとしては、今回の製品は本当にCBDでTHCが限度値以上含まれていたが、新浪氏がこれまでも、今回も違法薬物に関与していなかったケースです。この場合、嫌疑だけでここまで大きな社会的制裁を受けることが適切なのかという疑問が残ります。企業トップがCBD製品を使用しただけで不適格とされるなら、CBDは「役職者にとって使うべきでない物」とラベリングされかねません。これはCBDそのものへの誤解を広げ、市場の萎縮につながる強い懸念があります。他方でサプリも扱う大企業のリーダーがこのような件を起こしてはならないであろうという論についても一定の理解はしているつもりです。

第二のシナリオとしては、何らかの事件性があったケースです。特に令状を取って家宅捜索を行うのは、警察や麻薬取締部が「決定的な何か」を掴んだからではないでしょうか。空振りに終われば捜査側も説明責任を負うことになります。そもそもCBD製品にTHCが含まれていたというだけで、ここまで踏み込むのはこれまでの対応からみても不自然です。厚労省や警察との協議を経て、より深刻な疑念があったと考える方が筋が通るようにも思われます。

いずれにしても現段階では憶測の域を出ません。正式な捜査結果を待つ必要があります。
最も強調したいのは、CBDが合法であるにもかかわらず、否、合法であるからこそ「違法薬物の隠れ蓑」であるかのように扱われ、印象だけが悪化して市場が停滞することは避けなければならないということです。

業界団体は、「基準を満たしたCBD製品は安全である」、「正規の手続きを経ていない海外製品や個人輸入は麻薬及び向精神薬取締法や薬機法に抵触する恐れがあるため控えるべきである」といった公式見解を早急に出す必要があると考えます。

また、そうした日本で使える安全なCBD製品の自主業界規定を早急にまとめて消費者に周知すべきだと思います。少なくとも海外で購入したCBD製品は日本に持ち帰らないでください。日本でもCBD製品を購入する際にはどのような形でTHCの検出限界値を下回っているのかを確認してよくわからない製品には手を出さないことをおすすめします。 

このままではCBDは誤解され、市場そのものが毀損されかねません。今回の事件はそのリスクを象徴する出来事であり、私たちに業界としての責任を突きつけています。

文=柴田耕佑

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