経済

2025.09.06 11:15

ふるさと納税の利用率が半数以下に留まる根本的な課題

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ふるさと納税ポータルサイトのポイント付与が10月で廃止される。ポイント還元競争が過熱してふるさと納税の本来の趣旨を逸脱してしまったことが理由だ。それを聞いて、自分は使っていないけど、みんなそんなに利用しているの? と疑問に思う人も多いだろう。それもそのはず、ふるさと納税を使っている人は、そう多くないことが調査で判明した。

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ふるさと納税初心者のための情報サイト「はじめてのふるさと納税」は、全国20〜70代の男女1009人を対象に、ふるさと納税の利用実態調査を実施した。それによると、ふるさと納税の仕組みを知っている人の割合は、「非常に詳しい」から「少し知っている」までをあわせると91パーセントとなった。認知度は非常に高い。

ところが、ふるさと納税を利用したことがあるかを聞くと、「ある」は42パーセントと半数を切った。また、今後利用する予定はあるかをたずねると、「わからない、決めかねている」という回答がもっとも多く73.2パーセント。「今後もない」が12.3パーセント。「ある」は13.8パーセントにとどまった。

ふるさと納税の制度は2008年から始まり、20年近くが経とうとしているが、この数字を見るかぎり十分に定着したとは言えない。「はじめてのふるさと納税」は、「制度名や仕組みを漠然と理解しているものの、実際にどう利用すればよいのかを把握できていない人が多数派」だと指摘する。制度の複雑さや情報不足が障壁になっているとのことだ。使ってみようと思ったが、結局使わなかった経験のある人の多くは、そこで挫折しているのではないだろうか。

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ポイント付与が廃止され、利用者の減少が心配される。制度を運営する自治体やポータルサイトなどは、「申請や寄附の流れを直感的に理解できる仕組み」や「税控除メリットをわかりやすくシミュレーションできる機能」を強化すると同時に、「地域の支援」と「利用者のメリット」が両立する制度の魅力を理解してもらう努力が必要だと「はじめてのふるさと納税」は話している。

プレスリリース

文 = 金井哲夫

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