ビジネス

2025.09.22 10:15

AI時代に人が担うのは“生きるをあそぶ余白”

共創の鍵は「余白」と「和える」こと

まちづくりにおける共創も、この「余白」の考え方と深く繋がっています 。経済産業省近畿経済産業局は「価値共創を社会に変化をもたらす新しい価値を共に生み出す活動。そのために、画一的でない価値観を有する多様なステークホルダーと、共有された大きな目的のもと、創造的対話を継続的に実施する」と定義しています。この創造的対話こそが、AIには代替できない人間の領域であり、そこに「余白」が必要だと感じています。

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私は講演でもコラボレーションを生んでいく秘訣や共創コミュニティの作り方を問われることがありますが、明確な答えはありません。なぜなら、共創は地域や目的に応じてアプローチが異なるからです。重要なのは、まずセッションを通じて互いの共通点や興味関心を探り、最初から目的を定めすぎないことです 。まるでほうれん草の胡麻和えのように、食材の形を変えずに、お互いを「和える」ようなイメージです。強制的に混ぜすぎると分離や決別を生む可能性があるため、適度な「余白」を残し、互いの目的が調和するようにほどよく混ぜることが大切です。

八尾市の「みせるばやお」や「FactorISM」も、この「余白」を意識して活動を展開してきました。野球やボール遊び禁止といったルールでがんじがらめになった公園のように、ルールが多すぎると「余白」がなくなり、創造性が失われます。

FactorISMは、活動に「余白」を残し、参加できる地域や関わりしろを増やすことで、わずか6年で5市町村エリアから13市町村エリアへと拡大し、参加企業も35社から92社へと増え続けています 。地域を越えて多様な企業が集まり、違いを認識しながらも、共にまちを元気にしていく共創コミュニティへと深化しているのです。またこの活動が他の地域にも共感をうみ、私は全国でも講演に呼ばれるようになり、その土地で交流し、さらに他の地域の方々を引き連れて新たな交流を生むことにつながっています。

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大分県日田市ものづくり探検隊との交流の様子
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