経営・戦略

2025.09.03 10:30

米小売ターゲット「DEI撤廃で信頼失墜」 CEO退任、市場価値65%減少の大きな代償

Kristi Blokhin / Shutterstock.com

ターゲットの価値は2021年から65%目減りし、信頼も失墜

2021年以降、市場は全般的に大きく上昇しているが、ターゲットは逆方向へ進み続けている。1290億ドル(約19兆1000億円)だったターゲットの市場価値は、いまや450億ドル(約6兆6800億円)まで下落し、ブランドへの信頼も蝕まれている。株価は96.40ドルまで下がっている。

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ターゲットというブランドを差別化していた要素は、単に製品や価格だけではなかった。消費者の抱く信頼や感情的なつながりも関係しており、それは、2020年にターゲットが拠り所にした原則が根拠になっていた。

だが、ターゲットはほとんど一夜にして変節することを選び、同社の多様性に関する価値観や投資は、外部との関係次第でどうにでもなるものだという印象を与えた。その結果、四半期の売上がどれだけあっても相殺できないほど急速に、消費者の信頼が侵食されたのだ。

これらのすべては、防げたはずのことだった。

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真の取り組みはこれから

ターゲットは成長を回復させるだけでなく、価値観と行動の一貫性を示し、信頼を築き直さなくてはならない。

昨今では、信頼は単なるぜいたく品ではない。戦略的な資産だ。そして、値札をつけられないものでもある。信頼は時間をかけて築かれる。一日一日の一貫した行動が企業の価値観を強化するものであり、スプレッドシートの中で見つかるようなものではないのだ。

ターゲットの成長は、多様性への投資によって加速していた。そしていま、そのアプローチを放棄したせいで損なわれている。

外部の力が、大企業に対してDEIの撤廃やいわゆる左派的な「ウォーク(woke:社会の正義に反することに注意を払うこと)」ポリシーの排除を求めたとしても、企業のCEOは、成長は新たな市場にあると認識しなければならない。新たなオーディエンスとのあいだに橋を架け、コミュニケーションをとることが成長につながるのだ。

DEIをさっさと撤廃する人たちは、自分たちの確定拠出年金の貯蓄口座を、DEIが提供しているものを土台として育てている。

多様性はいまも、そしてこの先もずっと、新たな市場であり続けるだろう。

そして、これは米国だけの問題ではない、地球規模の問題だ。筆者は40カ国をめぐって、さまざまな市場において多様性がビジネスをどう育て、どう支えているかを調べてきた者として、多様性は1兆ドル(約148兆円)規模の盲点だ、と確信をもって言える。

ターゲットは、それを取り逃がしてしまったのだ。

forbes.com 原文

翻訳=梅田智世/ガリレオ

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