経済

2025.09.10 09:30

スカート丈、衛星画像、ビッグマックの価格 「経済動向をつかむ」11の代替指標

T. Schneider / Shutterstock.com

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2025年のいま、米国政府が発表する公式経済統計への信頼は崩壊しつつある(他の多くの政府機関への信頼と同様に)。数字の誤りが証明されたためではない。トランプ大統領が突如として、これらを政治的なリトマス試験紙に変えたからだ。

7月の雇用統計が発表され、5月と6月の数字から下方修正となった1週間後、トランプ大統領は「悪い知らせをもたらした使者を殺す」決定を下し、労働統計局(BLS)のエリカ・マッケンターファー局長を解任した。

トランプ大統領は、自身が所有するSNS「トゥルース・ソーシャル」への投稿のなかで、「私の考えでは、今日の雇用統計はでっちあげであり、共和党と私の印象を悪くすることを意図したものだ」と述べた。

経済学者はその立場を問わず(第1次トランプ政権のBLS局長も含めて)、マッケンターファー局長は、勤勉かつ実直に仕事をしただけで、不正の証拠は一切ないと断言する。だが、もはや後の祭りだ。

トランプ大統領は後任として、E・J・アントニーを指名した。保守系シンクタンクのヘリテージ財団でチーフエコノミストを務める同氏は、MAGA運動(アメリカを第一に掲げ、失われた偉大さを取り戻そうとするトランプ大統領主導の政治・社会運動)の熱烈な支持者であり、以前からBLSを批判してきた。BLSの「Lは無音」だと、ジョークを飛ばしたことさえある(Lを抜くとBSとなり、デタラメを意味するbullshitの略語と同じになる)。

オバマ政権で経済諮問委員会委員長を務めた、ハーバード大学の経済学者ジェイソン・ファーマンは、公的機関での指名に口出ししないという自身のルールを破り、アントニーは「まったく資格を欠いて」おり、彼の指名は「極端に党派的」で、「党派性をもたない実務官僚、という数十年にわたって続く慣例からの逸脱」であると批判した。

結果として、反トランプ派はこう懸念している──アントニーが就任すれば、BLSが発表する、米国で最も注目度の高い経済指標の数々は、それがインフレ率であれ、失業率であれ、賃金水準であれ、経済に関するトランプ大統領のあらゆる主張を裏づけるものに改ざんされかねない。一方、忠実な親トランプ派は、そもそもBLSのデータは改ざんされていたと信じている。

大統領が直々に、自らが所有するソーシャルメディアを使ってこうした攻撃を行うのは前代未聞だが、ネット上には以前から、代替インフレ指標を喧伝するニッチなサイトが存在してきた。こうした代替指標はほとんど例外なく、公式データよりも高いインフレ率を示している(これらの数字は一時的には正しいのかもしれない)。失業率にも同じことが当てはまる――実際の数字はもっと悪い、と主張する在野のエコノミストは、いつでも大勢いるのだ。GDPにさえ懐疑的な人々はいて、経済分析局が何を言おうと、米国は景気後退に入っていると彼らは説く。

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翻訳=的場知之/ガリレオ

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