2. トゥルーフレーション米国総合インフレ指数
何の代わりになる?:消費者物価指数
Truflation(トゥルーフレーション)は、複数の情報源から得られたリアルタイムの物価データを用いてインフレ率を推定する、ブロックチェーンベースのプロジェクトだ。
トゥルーフレーションの支持者は、毎日更新されること、政府の計算手法とは独立していること、消費者物価指数(CPI)と違ってタイムラグや修正がないことを強調する。一方、懐疑的な人々は、情報源の透明性を欠いていること、対象商品が政府統計のものと異なること、しばしばCPIよりも高い数値を示すことを指摘する。最後の点は、この指標がより「真実」に近いというよりも、元データに原因があるのかもしれない。
CPIの代替指標にはほかにも、ShadowStats(シャドースタッツ)や、Chapwood Index(チャップウッド指数)など多数あり、ある種の懐疑派たち(大概が、ゴールドバグたち[インフレヘッジとしてゴールドを利用する投資家]と言っていいだろう)の支持を受けている。精度については議論が分かれるが、ともあれ「公式データは間違っている」と信じる人々は、新たに登場したこの基準を頼りにしている。
3. スカート丈指数
何の代わりになる?:消費者信頼感指数、小売売上トレンド
発想はシンプルだ。スカート丈が短くなれば、経済は好調。長くなれば、先行きは暗い。この理論の発祥は1920年代までさかのぼり、はやり廃りのサイクルを繰り返しつつ、今日まで生き延びてきた。
「スカート丈計測局」はどこにも存在しないが、ファッション誌やグーグル検索データからトレンドを読みとれる。GDPの代わりはとても務まりそうにないが、消費者信頼感指数の簡易版として、不思議と根強い人気がある。
4. 夜間照明と衛星画像
何の代わりになる?:域内総生産(地域別GDP)、工業生産指数
衛星画像から、夜間に世界がどれだけ明るいかがわかる。一般的に言って、より明るいエリアは経済活動が活発だ。研究者はこの指標を用いて、統計データの質が悪い、または信頼できない国のGDP成長率を推定してきた。米国では、地域の経済データのクロスチェックに使える可能性がある。衛星画像は、NASAや民間企業が公開している。
解釈には多少の専門知識が必要だが、AI(人工知能)が状況を変えつつある。サンフランシスコ大学の経済学者アルマン・カチヤンは、「コンピューターは、パターン特定に極めて長けている」と指摘する。AIは、画像のなかの工業施設や公園を識別し、こうした特徴を、所得や人口の変化と結びつけることができる。誰かが人力で建築物にラベルづけを行う必要はないのだ。
なお、カチヤンが共著者を務めた論文で、研究チームは、日中に撮影された高解像度衛星画像と国勢調査データを用いてニューラルネットワークを訓練し、地域の所得と人口の変化を予測した。彼らのモデルの精度は、地区単位では夜間照明の画像分析を大きく上回り、機械学習によって衛星画像データから、経済に関する詳細なインサイトが得られる可能性が示された。


