学校は、スマホの制限にどう取り組むべきか
学校がスマホの制限にどう取り組むべきかについて「最善の方法」と呼べるものはまだ存在しない。そのため、各国でさまざまなアプローチが試されている。
・フランスでは200の中学校で、学校内でのスマホの使用を完全に禁止する試験プログラムが行われ、サイバーいじめの減少や対面での交流の増加といった初期の成果が報告されている。
・オランダでは、中学校から段階的な禁止措置を導入した結果、「生徒同士が再び会話をするようになった」「授業への参加が35%増えた」といった声が教師から上がっている。
・ブラジルでは、公立と私立をあわせて4800万人の生徒が対象となる全国的な包括的禁止措置が実施された。この取り組みは、史上最大規模の学校でのスマホ禁止の試みとされている。
禁止の効果だけを他の要因から切り離して見るのは難しい
スマホ禁止の取り組みは国や地域によって異なり、今も試行錯誤が続いている。その効果を調べる試みは、同時にさまざまな課題も浮かび上がらせている。多くの研究は厳密な実験ではなく、自然な状況での比較に依存しているのだ。そのため、禁止の効果だけを他の要因から切り離して見るのは難しい。
たとえば、禁止措置を導入した学校とそうでない学校を比べても、生徒の属性や学校運営の方針、同時期の別のポリシーなどが異なっている場合が多く、観察された結果が本当にスマホの制限によるものなのか、それとも他の要因によるものなのかを判別するのは容易ではない。ポリシーの内容も教室内だけの制限から、スマホを施錠したポーチに入れて完全に預けさせるものまで幅広く、研究結果を横並びで比べることを難しくしている。
データ解釈の注意点と本質的課題が示す教育の重要性
こうした制約を踏まえると、学校におけるスマホの禁止は複雑な問題であり、社会のデジタル化の進行を踏まえれば、明確な解答はまだ存在しない。ただし今後のアプローチは、対象を絞った制限と包括的なデジタル・ウェルビーイング教育を組み合わせるべきだろう。授業やテストといった高い集中力が求められる場面ではスマホを排除して「ブレインドレイン」を防ぎ、休み時間には利用を認めることで、スマホが担う社会的・安全面での役割を維持することができる。
生徒に単にデバイスの使用を禁止することよりも重要なのは、アルゴリズムがどのようにコンテンツを操作しているのかを理解させることや、サイバーいじめのリスクを認識させること、そして自己コントロールのスキルを身に付けさせることだ。特に、スマホの問題利用はしばしば学業上のプレッシャーや社会的な弱さ、家庭のストレスといったより深い問題を反映しており、その解決には包括的なサポートが必要だ。
ユネスコがまとめたスマホの禁止に関する世界的な分析では、生徒は「テクノロジーがもたらすリスクと機会を学ぶべきであり、それらから遮断されるべきではない」と指摘されている。したがって目指すべきは、若者からテクノロジーを取り上げることではなく、それと健全に付き合う力を育むことだ。
学校でのスマホ利用をめぐる議論は、突き詰めればデジタル時代における注意力や人間関係、自己認識といったより広い課題に行き着くことになる。スマホの禁止は、一定の効果をもたらすものの、本当に重要なのは、若者がデジタルとの関わり方を自ら判断し、コントロールできるように導くことだ。スマホの禁止が、特に気が散りやすい生徒に控えめながら確かな認知面での効果をもたらすことは、研究でも裏づけられている。しかし、子どもの健全なデジタル市民性を育てるためには、単なる制限ではなく教育が不可欠だ。


