健康

2025.09.03 12:30

静かにあなたを消耗させている「環境ストレス」とは? その7つの対処法

chameleonseye / Getty Images

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スマホのバッテリーの減りが時々早いのは、アプリが裏で作動してバッテリーを消費しているからだということは知っているだろう。「環境ストレス(アンビエントストレス)」も同じように神経系に作用する。「低度の慢性的な緊張が見えないところで静かにあなたを消耗させている」と、資格を持つソマティックセラピストのクロエ・ビーンは説明する。

急に起こって短時間で終わるストレス(締め切りや試験、緊急事態などがいい例だ)とは異なり、環境ストレスはずっと微妙で持続する。雑念や騒音、公害、デジタル過多、絶え間ないマルチタスク、話し方や言語の切り替え、他者との比較などによってゆっくりと蓄積されていく。

環境ストレスが厄介なのは、その積み重ねによって体の基準が平穏な状態から常に緊張した状態へと徐々に変化し、完全にリラックスできなくなるからだとビーンは言う。

環境ストレス(アンビエントストレス)が与える影響

環境ストレスはすぐには感じられない形で健康に影響を及ぼし得る。「環境ストレス要因によってストレス反応が絶えず促進されると、身体と脳が酷使され、対処するためのリソースが乏しくなる。そのため、ストレスに対する回復力が時間とともに低下する」と、米ニューヨークを拠点とするADHD(注意欠如・多動症)専門のセラピスト、ポリーナ・シュカドロンは言う。この複合作用は悪循環を生み、かつては「大したことない」と感じていた日常の些細なストレスでさえ、神経系への負担によって手に負えないもののように感じられ始めるとシュカドロンは説明する。

やがてバーンアウト(燃え尽き症候群)や不安、感情調節障害、睡眠障害、炎症、免疫機能の低下、さらには慢性的な痛みにつながる可能性がある。「特にトラウマに悩まされたことのある人は、すでに過敏症になったりストレスを抱え込んだりしやすくなっている可能性がある」とビーンは言う。

環境ストレスの特徴

環境ストレスの現れ方は人によって異なるが、一般的な兆候としては次のようなものがある。

・何も問題がないように見えても、常に「ピリピリ」している

・立ち止まって自分の身体の感覚を確認したときに身体の緊張(特に首、顎、腰、骨盤底)に初めて気づく

・寝つきが悪い、あるいは目が覚めた時に疲れている

・小さな決断に参ってしまったり、タスクを完了させるのが難しく感じたりする

・騒音や社会の空気に対して過敏になる

・感情が麻痺したり、喜びをもたらすものから切り離されたように感じる

・時間やエネルギー、生産性、自己価値などが「足りない」という感覚がつきまとう

これらはすべて、「闘争するか逃走する、あるいは固まる」モードに陥っているかもしれないことを示している。「何が起きているかというと、心が無視することを学んでしまったことに対して身体が警告を発しているのだ」とトラウマなどの治療に使われるEMDR(眼球運動による脱感作と再処理法)の訓練を受けたライセンスを持つセラピストであるエリカ・シュワルツバーグは言う。

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翻訳=溝口慈子

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