北米

2025.09.02 11:00

関税不安かき消す「AI楽観論」 金とサーバーの輸入で読むトランプ2.0半年の米経済

Shutterstock.com

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これは金(ゴールド)とコンピューターサーバーのストーリーだ。また、スイスと台湾、欧州とアジア、過去と未来、不安と楽観、そして航空貨物のストーリーでもある。

ドナルド・トランプ米大統領の2期目の任期が始まった2025年1月、米国の金地金の輸入額は304億4000万ドル(約4兆4750億円)という途方もない額に膨らんだ。しかし、わずか5カ月後の6月には99%超減少して1億8913万ドル(約278億円)まで落ち込んだ。何があったのだろうか?

一方、同じ期間に米国のコンピューターカテゴリー(サーバーを含む)の輸入額は54.12%増えた。1月から6月の間に米国のモノの輸入額全体が16.32%減るなかでも、コンピューターカテゴリーの輸入額は着実に伸び続け、6月には214億8000万ドル(約3兆1580億円)に達している。これはどういうことなのか。

モノの貿易統計という限られた視点から見ると、米巨大テクノロジー企業の間のAI(人工知能)楽観主義はウォールストリートの投資家の懸念を覆い隠しているようだ。ただ、両者の間にはメインストリート(一般的な産業界)が存在し、その大小さまざまな企業はAIから利益を得ることを期待しつつも、足元では自社のビジネスに対する関税の影響をもっと気にしている。

不安を映す金

このストーリーは金で始まる。トランプによる関税の脅しや「トランプ2.0」政権への不安から、米国では冬の間にスイスからの金輸入が急増した。金は一般に、不安定な時期の安全な資金の退避先とみなされている。

1月と2月、その金の空輸によってニューヨーク州のジョン・F・ケネディ国際空港は全米最大の輸入港に浮上した。また、金カテゴリー(国際的な品目分類番号のHSコードは7115)は金額ベースで米国の最大の輸入品目に躍り出た。だがその後、金の輸入額は減っていき、6月には198位に後退している。

米国の貿易赤字の急激な拡大に危機感を抱いたのか、トランプは8月、スイスからの輸入品に対して39%の関税を課すと発表した。ただ、この頃にはもう“ゴールドラッシュ”は終わっていて、需要も満たされていた。

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翻訳・編集=江戸伸禎

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