Forbes BrandVoice!! とは BrandVoiceは、企業や団体のコンテンツマーケティングを行うForbes JAPANの企画広告です。

2025.09.11 16:00

経営に大きく寄与する人事部門へ。PwC×3名のCHROが語る、変容と進化のヒント

経営環境の急速な変化に伴い、人事部門に求められる役割が大きく変わってきている。いま人事に求められるのは、従来のような人事オペレーション業務の推進ではなく、経営戦略との連動や事業競争力に資するような価値提供だ。

2025年7月23日、PwCコンサルティングは「人事部門の価値提供の未来、未来のHR組織とは」と題したパネルディスカッションを開催。人事領域において豊富な実績と知見を持つ3名のCHROが登壇し、人事部門やCHROが今後目指すべき姿、担うべき役割について見解を示した。


パネルディスカッションの冒頭で、モデレーターを務めるPwCコンサルティング 執行役員 パートナー 組織人事コンサルティングリーダーの北崎茂(以下、北崎)は、今後の人事部門のチャレンジ部分として、次の4つを挙げた。

「①ステークホルダーの変化への対応、②人材ポートフォリオマネジメントと雇用ブランドの強化、③カルチャーマネジメント(組織文化の変革)、④新たなHR Target Operating Model(将来的に組織が持つべき能力を定め、その実現のために組織を構築・変革する際の設計図)の策定。なかでも②を実行する上では、事業戦略にかなり精通する必要があり、③はそもそも企業の中で誰が担うべきかという課題もありますが、人事部門が舵取りしていくとなれば大きなチャレンジになるでしょう」

PwCコンサルティング 執行役員 パートナー 組織人事コンサルティングリーダー 北崎茂
PwCコンサルティング 執行役員 パートナー 組織人事コンサルティングリーダー 北崎茂

パネルディスカッションは、これらのポイントを踏まえたテーマに沿って行われ、登壇者のNOK株式会社 執行役員 グループCHRO 江上茂樹(以下、江上)、株式会社BREXA Holdings 執行役員 CHRO 相原修(以下、相原)、丸紅株式会社 常務執行役員 CHRO 鹿島浩二(以下、鹿島)が、それぞれ意見を述べ合った。

1つ目のテーマは、「これからの人事部門に求められる役割・価値とは何か、人事に求められることの変化とは」。

この問いに対し、「ベタではありますが」と前置きしつつ、「経営戦略実現に資する人材戦略の策定を行うこと」と答えたのは、丸紅に入社以来、ほぼ人事畑ひと筋で歩んできた鹿島だ。

「経営戦略の変化はスピーディーで、動きも大きい。人事部門がその動きに連動しながら人材戦略を策定していくことは容易ではありません。CHROは、経営会議などを通じて会社の動きを俊敏に捉えられる立場ですので、私自身はそれをいかに人材戦略に結び付けていくかを意識しています」と続けた。

丸紅株式会社 常務執行役員 CHRO 鹿島浩二
丸紅株式会社 常務執行役員 CHRO 鹿島浩二

これまで外資企業を中心に複数社で人事部門長やCHROを歴任し、今年5月からグローバルに人材関連の事業を行うBREXAグループにCHROとして参画した相原は、次の2点を挙げる。

「事業への深い理解とAIの活用です。後者は、まず事業においてどうAIを活用していくのかがあり、それに対して人事が採用・育成・外部連携などの面でどう貢献していくか戦略を立てる必要があるでしょう。加えて、AIを活用することで、経営の意思決定に資するようなデータを提供したり、より効率的なオペレーションを行ったりすることが非常に大事だと考えます」

複数社で統括部門長やCHROを歴任し、昨年から総合部品メーカー・NOKでCHROを務めている江上は、上の2人と同意見を示した上で、従来と今後の人事の役割の違いを端的に示した。

「いわば人事は、“組織が事業戦略を実行する上で生まれるお困りごとを解決するソリューションプロバイダー”。いまは、人事制度という製品をプロダクトアウトすることではなく、いろいろな制度やノウハウを組み合わせて、こういう風に解決できます、と提案することが求められていると考えています」

 マインド変容、カルチャー醸成への寄与が求められる

2つ目のテーマは「これからの人事部門にとってチャレンジと思われる領域は?」。

北崎は、「事業戦略との連動」が共通認識としてあることを踏まえた上で、これまでHRビジネスパートナー(HRBP。事業戦略と人事戦略を結び付けて策定・実行を担う)の設置など、様々な取り組みを行ってきながらも、事業戦略の一翼を担うステージまで上がりきれている人事はそこまで多くはないと課題提起し、改めて「事業と人事の連動」という観点において、今後の人事部門が一番重視、注力すべき点は何かと投げかけた。

江上は、「人事(特に国内)のマインドセットの変革」を挙げ、自身がいま一番注力している部分でもあると話す。

「例えば、人事には“制度マニア”、つまり制度を作りこむことに力を注ぎ過ぎ、その制度の目的・意義を見失って社員や現場が忘れ去られているケースが散見されます。社員や現場からすると、『人事は一体、何をやっているの?』となってしまうでしょう。そのため、そうした人事のマインドを一つひとつ紐解いて変えていくようなことが必要です」

NOK株式会社 執行役員 グループCHRO 江上茂樹
NOK株式会社 執行役員 グループCHRO 江上茂樹

相原は「カルチャーマネジメント」と答え、その理由をこう話す。

「カルチャー次第で、人材の活き方、一人ひとりの力の発揮具合が変わってきます。人事部門がカルチャー醸成にどう影響を及ぼし、結果につなげていくかは大変難しく、大きな課題になりますが、一方で、カルチャーは歴史と社員一人ひとりの考え方や行動から形成されるので、人事部門が最も貢献できる分野の一つにもなるでしょう。また、社員のスキルをどう見分け、どう実装させるか。そして、テクニカルスキル、ヒューマンスキルの両面で真に使えるデータベースを作り、活用することもチャレンジになるでしょうね」と述べた。

鹿島は、自身が経営企画部や広報部などと協働し、既存の枠組みを超えて価値創造する仕組み・仕掛けづくりを行った過去の経験から、「人事部門内で閉じないこと」だと話す。

「人事部だけで解決できない課題が多いため、他部門との連携が必須になります。当社の場合、人事と経営企画間では密なコミュニケーションがありますし、そこをうまくブリッジするのがCHROの役目でもあると思っています。また、社外へ目を向けることも大事ですね。経営環境が日々変わる中では、広い視野と知識がなければ、次に取るべき手段が思い浮かばないでしょう。例えば、他社にはどんなベストプラクティスがあるのか、アメリカではどういう制度・取り組みが注目を集めているのか。そうした情報や知識をキャッチし、経営層から求められた時に提示できる実力を備えるべきだと感じています」

CHROは鳥のような「俯瞰力」で任務遂行を

3つ目のテーマは「これからのCHROの役割はどのように変化するか」。

鹿島は、役割の中核にくるものとして「人材戦略の策定を主導すること」を挙げた。そして、CHROでありながら、“人事部を所管しない”という自身の組織内のポジショニングも任務遂行にプラスに働いている一面があると話した。日々のオペレーションなど細かいことに時間を取られず、人材戦略にじっくりと集中できるためだ。

江上もこのポジショニングに共感し、「実は私もあえて人事実務を担当していません。というのも、CHROには『総合力』が求められると考えているからです。人事部門が“右”と考えがちなことを、CHROは“左”と言える――それが大事だと思っています」

「総合力」という言葉に対し、北崎が「俯瞰力とも言えそうですね」と反応すると、江上は頷き、こんな比喩に例えた。

「CHROは鳥なんです。ずっと上空を飛びながら見ていて、何かあったら地上(人事部門)に降りてサポートして、また飛んでいく」。

相原も2人と同意見を示しつつ、「CHROは、いかに事業へ貢献できるかが問われます。一方で、会社の事業戦略について、人事のメンバーに翻訳して伝えることも大事な役割です」と答えた。

株式会社BREXA Holdings 執行役員 CHRO 相原修
株式会社BREXA Holdings 執行役員 CHRO 相原修

目指すは、オペレーションの最小化とデジタル活用の最大化

最後のテーマは、「これからの人事組織、提供価値はどのように変化する?」。

北崎は、近年の人的資本に対する注目度の変化に加え、生成AIの活用による仕事の在り方の変化、さらには労働人口の減少による影響がさらに高まるであろうこれからの時代を考えると、今後ますます人事部門の役割やミッションが拡大・複雑化することが想定されると言及。人事部門は、事業部門や経営とのより近い立ち位置が視点・視座という点でも求められる中で、3〜4年後にそれぞれがどんな人事組織を目指していきたいかとCHRO達に投げかけた。

相原は、「主に4つのチームで人事組織を構成していきたい」と話す。

「前線でビジネスに貢献するHRビジネスパートナー(HRBP)チーム、タレントマネジメントやカルチャーを担う組織・人財開発チーム、制度づくりを行う人事企画チーム、人事オペレーションチームの4つです。オペレーションは、デジタルや外部委託を活用し、最小限にするのが好ましいですね」

鹿島も、「煩雑化するオペレーションの負荷を下げるべきだ」と述べ、さらにこう続けた。

「実は私は2年ほど、HRBP的なポジションだったことがあります。そのときに新たな気づきや視点が得られ、それが再び人事部門へ戻ったときにとても役立ちました。ですので、人事からHRBP、そして再び人事へ戻るという流れを活発化させることも、これからの人事組織づくりに求められるのかもしれません」と話した。

 江上は、自社の人事組織が向かう方向性を2点挙げた。

「1つは、グローバルで見た時に、それぞれの会社の人事が担う機能と、ビジネスユニットやグループ全体の人事が担う機能が整理されていくこと。2つ目は、デジタル面の舵取りを担う機能を持たせることですね。デジタルの進化がはやいので、そのスピードに追いついていくためには必須だと思います」

最後に登壇した3人から、CHROや人事部門で働く方々に向け、以下のメッセージが送られた。

「明確な答えがない中、多分皆さん色々と悩まれながらやっていらっしゃると思います。ただ、CHROや人事部門がどんどん前に進んでいくことで、きっと日本の産業も変わってくるのだと信じています」(江上)

「人事部門が様々なことを担う必要があり、非常に難しい局面を迎えていますが、一方で人事は『人』を通じて価値を提供できる部門であり、チャンスでもあると思っています」(相原)

「人事課題の“解”は、社内にあるとは限りません。社外のCHRO、人事部門の方々ともつながり、一緒に考えさせていただきたい」(鹿島)

最後に人事コンサルティングとして20年以上業界を見てきた北崎がこう締め括った。

「今回あげた議題はまだ “解”がなく難しい部分もあるが、現在の人事部門は、事業競争力に大きく資する組織となるターニングポイントにいると感じている。人事部門の次のステップを引き上げるべく、我々としての様々な課題提起や情報提供を引き続きしていきたいと考えています」


えがみしげき◎NOK株式会社 執行役員 グループCHRO。大学卒業後、三菱自動車工業(株)入社。三菱ふそうトラック・バス(株)へ移籍し、2010年、人事担当常務人事・総務本部長に着任。2015年、サトーホールディングス(株)へ入社、執行役員CHROなどを歴任。2020年に(株)ブリヂストンへ入社、HRX推進・基礎人事・労務・総務統括部門長兼ブリヂストンチャレンジド(株)代表取締役社長等を歴任し、2024年1月NOK(株)へ入社。

あいはらおさむ◎株式会社BREXA Holdings 執行役員 CHRO。大学卒業後、東レ入社。人事部、勤労部、アメリカ駐在などを経験。GEエジソン生命、DHLジャパン(株)執行役員人事本部長、ベーリンガーインゲルハイムジャパン(株)取締役人事本部長、ファイザー(株)取締役 執行役員 ピープルエクスペリエンス部門長等を歴任。2025年5月より現職。

かしまこうじ◎丸紅株式会社 常務執行役員CHRO。1989年丸紅に入社、一貫して人事業務に従事。2001年よりニューヨーク駐在。2007年に人事部企画課長として人事戦略策定、人事制度改定などを担当し、2013年に中国(北京)駐在。2015年より営業のグループ企画部副部長としてHRBP的役割を担った後、2017年より人事部長、2020年執行役員人事部長、2023年執行役員CHROを歴任し、2024年より現職。

きたざきしげる◎外資系IT企業を経て現職。組織人事コンサルティング領域にて約25年の経験を有し、2022年より同社の組織人事コンサルティング事業のリードを務める。専門領域は組織設計、人事戦略策定、人員計画策定、人事制度設計、人事プロセス・システム設計、EX/EVP設計、M&A、チェンジマネジメントなど。組織人事領域における包括的な知見を有し、これまで300以上のプロジェクトをリードしてきている。また、ピープルアナリティクスの領域においては、国内の第一人者として日系から外資系に至るまでさまざまなプロジェクト実績の他、年間30回に及ぶ講演・寄稿を日本企業向けに実施。近年ではHRテクノロジービジネスにおいて、企業の事業アドバイザーも務める。

Promoted by PwCコンサルティング合同会社 / text by Rie Suzuki / photographs by Emi / edited by RIe Suzuki