キャリア

2025.09.03 11:00

仕事で感じる退屈は成長したいサイン? キャリアの成否を分ける「正しい感情との向き合い方」

Shutterstock.com

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職場における退屈は、ほとんど語られない話題だ。我々は、仕事に意義や目的を求め、影響をもたらそうとしているが、時にはただデスクの前に座り、時間の経過を待つだけの日もある。すると、罪悪感が忍び寄ってくる。「もっと忙しく働くべきではないのか」とか「自分はやる気が足りないのか」と、自らに問い始める。

とはいえ実際には、仕事が退屈だからといって、あなたに問題があるわけではない。むしろそれは、きちんと注目すべき兆候だ。仕事が退屈だと思ったときに何をどうすべきか分かっていれば、内なる不満をきっかけに、自らを見つめ直して成長する機会を手にできるかもしれない。

研究者は以前から、退屈を、単なる一時的な感情以上のものとして探究してきた。心理学の観点から言うと、退屈は気分が低調で不満を抱えた状態だが、それらはしばしば意義や挑戦の欠如から来る──退屈は、感情と認知が交わるところに位置しているのだ。

職場に関する研究によると、退屈は職務の負荷不足や、ジョブデザイン(企業側が社員に対して、魅力ある仕事を割り振る手法)のまずさ、自主性の欠如と関係している。つまり、あなたが持つポテンシャルに仕事が見合っていない可能性を示すサインだといえる。

退屈を取り巻く偏見

筆者を含むほとんどのプロフェッショナルは、仕事が退屈だと思ってもそれを認めようとしない。その傾向が特に強いのは、リーダーの立場に立つ人や、イノベーションに関わる役割についている人だ。

生産性が価値の尺度とされている文化では、退屈を感じることは、自らの失敗を告白するのも同然だ。なにしろ、仕事はエネルギー源でなくてはならず、自分の仕事を愛していなければならないのだから。

にもかかわらず、優秀な人の多くは、刺激の足りない状態にはまり込んで抜け出せなくなっている。仕事はもはや自分の能力を試すものではなく、成果を出しても胸が高鳴ることはもうない。それでもひたすら先へと突き進むのは、そうすべきだと教えられてきたからだ。

退屈は、不適切にも怠惰と一緒くたにされてきた。しかし、退屈と怠惰は同じではない。怠惰は、十分に努力しないことだ。一方の退屈は、自分の能力と今の職務が釣り合っていない場合に感じることが多い。

退屈なのは、自分はもっとやれる能力があると思っているのに、周りからそれを要求されていないからだ。その食い違いのせいで、落ち着かない思いを感じる。そしてそれを放置しておくと、そうした思いが無関心へと姿を変えてしまうことがある。しかし早めに把握すれば、退屈は自分を見直すための強力なきっかけとなる。

職務特性理論は、退屈を巡るこうした状況をより深く説明してくれる。この理論の枠組みによると、職場でのモチベーションと満足が最高水準に達するのは、スキルの多様性、タスクの主体性、タスクの重要性、自立性、フィードバックがそろっているときだ。そのうちのどれか一つでも欠けていると、しばしば退屈が生じる。

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翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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